作品紹介の前に
この記事ではシナリオが面白いエロゲを紹介している。
作品紹介の前にいくつか注意点があるので説明しておく。
注意①:作品選定基準
今回紹介する作品はシナリオの面白さだけを基準に選定している。
したがって、エロゲではあるものの、エロが使えるかどうかは一切考慮していない。
抜ける作品について興味がある場合は次の記事を参考にしてい欲しい。
こちらは抜けるかどうかだけを基準にランキング形式でエロゲを紹介している。
数は少ないが、両記事で被っている作品もある。
すなわち、めちゃくちゃ面白い上にエロまで使えてしまうという素晴らしい作品もあるということ。
そこで、両記事に掲載されている作品についてはタイトルの横に★マークをつけておくことにした。
注意②:ジャンルについて
管理人が面白いと思った作品を選んでいるが、以下の2つのジャンルのゲームは除いている。
【以下の2つのジャンルのゲームは除く】
・ミステリー
・ゲーム性のあるゲーム
これらについては別記事にて紹介している。
姉妹記事なので興味があれば目を通してもらえると嬉しい。
注意③:評価項目について
以下の6つの観点をSABCDEの6段階で評価し±で微調整している。
・面白度
・シナリオ
・キャラ
・構成
・音楽
・Hシーン
面白度
純粋に作品をプレイしてみて面白かったかどうかを評価した指標。
シナリオゲーの面白さは、
・シナリオつまりストーリーの面白さ【シナリオ】
・登場人物の魅力やその掛け合い面白さ【キャラ】
で決まる。
面白度はこの2つを総合的に評価したものといっていい。
ただし、それぞれの総和が面白度になるわけではなく、あくまで総合的に判断することになる。
そもそも、シナリオとキャラを完全に分離して評価することなどできないからだ。
シナリオとキャラの評価の合計といった単純な決まり方をしているわけではなく、あくまでゲームそのものがどれだけ面白かったかで評価している。
シナリオ
シナリオつまり、ストーリーの筋がどれだけ面白かったかの指標。
起承転結がしっかりしているかなど。
キャラ
登場人物の魅力、掛け合いの面白さ、立ち絵のあるキャラクター数などを総合的に評価した指標。
構成
共通ルートと個別ルート、あるいは分岐のない一本道、などのシナリオ構成を評価する指標。
シナリオゲーにおいては構成が面白さに与える影響は大きい。
そこで、独立した項目として評価することにしている。
なお、あまりに細かく解説するのはネタバレに等しいので、あくまで大枠にとどめている。
ルートロックやグランドルートの存在などには基本的には触れていない。
音楽
歌やBGMを評価する指標。
音楽が素晴らしいとシナリオも盛り上がるのでこれについても評価することにした。
曲名を出して紹介しているが、もしYouTubeやニコニコ動画などで曲名を検索して曲だけ聴こうとするのであれば注意してほしい。
公式がアップロードしていない場合は基本的には違法にアップロードされた動画であることは間違いないだろう。
もっとも、ブランドがほったらかしている以上うるさく言うつもりはない。
肝心なのは、これらの違法にアップされた動画はネタバレCGをサムネに用いているケースが極めて多いということだ。
そのゲームを未プレイなのに音楽だけ聴こうとすると核心的なネタバレを喰らうことがある。
一応酷いと思ったものについては個別に注意喚起をしているが、自己責任で視聴していただきたい。
なお、管理人の語彙力不足のせいで、名曲だの良曲だの、似たような表現を何度も用いている。
名曲は名曲でいいじゃん、ということで開き直ることにしたのでご容赦いただきたい。
Hシーン
Hシーンの実用性について評価した指標。
これは完全におまけ。
注意④:用いている画像とあらすじについて
画像については基本的にはFANZAのサンプルCGを用いている。
その他の画像についても内容は体験版を超えないようにしているのでネタバレはない。
また、あらすじについても公式のストーリー紹介や体験版内にとどめているのでこちらもネタバレはないようにしている。
もちろん体験版内であってもネタバレになるような情報は入れないようにした。
シナリオが面白い名作エロゲ27選
1位:レミニセンス(てぃ〜ぐる)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
S | A+ | S |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | A- | B |
タイトル | レミニセンス |
ブランド | てぃ〜ぐる |
ジャンル | 記憶を巡るADV |
原画 | トモセシュンサク |
シナリオ | 衣笠彰梧 |
DL価格 | ・無印:7,124円(税込) ・Re:Collect:6,076円(税込) |
シリーズ紹介
『レミニセンス』と続編である『レミニセンス Re:Collect』がある。
また、3種類のアペンドがる。
アペンドについては注意点のところで説明する。
【本編】
①レミニセンス
②レミニセンス Re:Collect
【アペンド】
①レミニセンスあぺんどディスク
②アップデートパッチ(レミニセンス)
③アップデートパッチ(レミニセンス Re:Collect)
なお、『レミニセンス』は『暁の護衛』の後継作品にあたる。
続編ではないためシナリオに深いつながりはないが、登場人物や名称など、少し重なる部分がある。
作品の面白さ
外交は戦争、特務官による大人の駆け引き
エロゲの物語の大半は人と人との衝突があれば殴り合いで解決するのが基本だ。
しかし、この『レミニセンス』は違う。
特務官(とくむかん)と呼ばれる連中が知恵を絞ってハードな交渉を行う。
特務官とは、街を代表して他の街と交渉を行う外交官であり、街の運営の中枢を担う官僚でもある。
外交官であり官僚である以上、当然公務員だ。
街と街の交渉というところに『レミニセンス』という作品の独特の世界観がある。
『レミニセンス』は『暁の護衛』の後継作品であり世界観そのものは連続している。
『暁の護衛』の時代から少なくとも150年以上経過しており、その間に人類は地上での生存をあきらめ地下深くにあるジオフロントでの生活を余儀なくされる。
このジオフロント内にあるのがホープタウンとドリームタウンという2つの街で、それらをつなぐのが特務官というわけだ。ちなみにホープタウンの人口規模は15万人ほど。
また、外交だけではなく街の運営についても全面的に担っている官僚でありコンサルタントのような仕事もしている。
そんなわけで、シナリオは終始大人な内容だ。
交渉相手を接待したりもするので、会社員経験者だと自分の仕事と重なるかもしれない。
会社法の正確な知識なども出てくるので本格的なシナリオを楽しみたい人向けの作品と言える。
ストーリーは主人公・島津 秀隆(しまづ ひでたか)がホープタウンの特務官になるところから始まる。
ホープタウンの特務官はエリートであるため堅物の真面目な人間が多く、大河内麦蔵率いるドリームタウンに水をあけられてしまっていた。
なんとかしてドリームタウンにやられっぱなしの状況を打開したいホープタウン。
街の代表である唐沢は起死回生の一手でかつての天才・島津秀隆に未来を託すことに。
そんな秀隆が様々な難交渉に悪戦苦闘していくドラマのようなストーリーが基本調になる。
『暁の護衛』と比べるとシナリオ性が高く、問題解決という明確な方向性があるため終始結末の気になる展開が続く。
それでいて、『暁の護衛』同様にキャラ同士の掛け合いが楽しめるキャラゲーでもある。
実は大人のシナリオと言っても暴力的なシーンはある。
外交は戦争。
言葉で決着が着かなければステージは次の段階へと進まざるを得ない。
頭脳と暴力、双方の緊張が絡み合う濃密なサスペンスドラマ、それが『レミニセンス』だ。
そして『レミニセンス』最大の魅力は、主人公である島津秀隆にある。
特務官であり抜群に切れる頭を持っている。
しかし、それを感じさせないひょうきんな性格と、誰とでも仲良くなってしまう人柄。
気がづけば交渉の相手方さえ飲み込んでしまったりする。
そしてプレイヤーさえも。
決して完璧な作品などではない。
それでも『レミニセンス』シリーズこそが面白さの頂点であることに疑いはない。
構成
2作品とも、
共通ルート→個別ルート
というオーソドックスな構成。
『Re:Collect』については前作ヒロインとのアフターストーリもある。
構成自体はありふれているが、『レミニセンス』には一つ大きな特徴あがる。
それは共通ルートが馬鹿みたいに長い、ということだ。
逆に言うと個別ルートはややあっさり目になっている。
共通ルートだと特定のヒロインと恋仲になっていないためシナリオに多くのキャラクターが参加するケースが多い。
そのため単純な面白さとしては共通ルートがピークという作品が多く、『レミニセンス』もそのタイプかもしれない。
音楽
『暁の護衛』シリーズほどではないが、全部で30以上のBGMが用意されている。
OPソングについてもシリーズ全体で3曲もあり、いずれも聴きごたえのある良曲揃いだ。
特に無印の1stOP『やがて消える幻でも』と2ndOP『幻影ノスタルジア』はサスペンスという作風に合ったかっこよさがある。
さらに、頭脳バトル的なサスペンスだけあって、緊張感を高める良曲も多い。
『Sign of activity』や『Invite to the incident』など、肉弾戦のバトルものとは違ったかっこよさがある。
注意点
前提として、『レミニセンス』は『暁の護衛』の後継作品だ。
したがって、『暁の護衛』を先にプレイした方がいい。
一部登場人物が重なっているし、『暁の護衛』のネタバレもある。
ただし、続編というほど深いつながりはないので、『暁の護衛』には興味がないという人が『レミニセンス』だけプレイしたとしてもあまり問題はない。
『暁の護衛』『流星ワールドアクター』と同様に衣笠作品の風呂敷を広げて放り投げるという特徴が出てしまっている。
各シナリオ自体は最高に面白いのだが、起承転結の完成度は高くない。
また、前述した通り共通ルートに一番力を入れている。
ヒロインの個別ルートを重視している人には物足りないかもしれない。
アペンドについて
レミニセンスには3つのアペンドが存在する。
まず、①レミニセンスあぺんどディスクについてはHシーンの追加だけが行われているのでシナリオ面での影響はない。
Hシーンの観点からのアペンドの補足については以下の記事で詳細に解説しているので参考にしてほしい。
②③についてはおそらくダウンロード版では最初から適用済と思われる(Re:Collectのみ管理人確認済)。
こちらもHシーンの追加がメインではあるが、シナリオ面の補足もあるので簡単に触れておく。
機能面で言うと、選択肢単位のスキップができるようになる。
特に無印は選択肢も多くボリュームもあるためこの選択肢スキップ機能はあった方がいい。
したがって、追加シーンに興味があろうがなかろうが必ずパッチは適用してプレイしよう。
次に、シーンの追加要素について説明する。
【②の追加要素】
追加要素 | Hシーン |
愛佳ルート追加 | あり |
愛佳ルートについては単なるHシーンの追加ではなくルートごと追加されている。
シナリオのボリュームもそこそこある。
【③の追加要素】
追加要素 | Hシーン |
涼風ルートにTrueEND追加 | なし |
マリアEND追加 | あり |
呉羽END追加 | あり |
マリアと呉羽についてはそれぞれ共通ルートと涼風ルートの中の分岐として追加される。
実質的にはHシーンの追加なのでシナリオのボリュームはほとんどない。
涼風ルートに追加されるENDはTrueENDなので作品の印象を左右する内容になっている。
シナリオの観点からは一番重要な追加要素だ。
最後に、②③のアップデートパッチについては無料で入手可能なので入手できるリンクを貼っておく。
以下のいずれのサイトからも入手可能だ。
無印については使用できることも確認済み。
公式サイトのアーカイブ
→https://web.archive.org/web/20200501104953/http://www.tigresoft.com/collector’s_edition/index.html
すえぞうのギャルゲー補完計画
→http://suezou.dyndns.org/tigre.html#reminiscence_ce-reminiscence_update
※アップデートパッチについては既にてぃ〜ぐるの公式サイトが閉鎖されていることを考えるといつダウンロードが不可能になるか分からない。
ダウンロードしたファイルは保管しておくことをおすすめする。
【レミニセンス】
【レミニセンス Re:Collect】
2位:暁の護衛 トリニティ コンプリートエディション(あかべぇそふとすりぃ)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
S | B+ | S |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | A+ | B |
タイトル | 暁の護衛 トリニティ コンプリートエディション |
ブランド | あかべぇそふとすりぃ(しゃんぐりら) |
ジャンル | お嬢様お守りADV |
原画 | トモセシュンサク |
シナリオ | 衣笠彰梧 |
DL価格 | 7,124円(税込) |
シリーズ紹介
暁の護衛シリーズは3つの作品と1つのアペンドから成っており、以下の①~④の全てが『暁の護衛 トリニティ コンプリートエディション』に収録されている。
①暁の護衛
②暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜
③暁の護衛〜罪深き終末論〜
④暁の護衛〜罪深き終末論〜の初回特典『もしもこんな一日があったら嫌だ!』
①~③については各タイトルごとに販売されているが、価格を考えても単品購入するメリットはないので『暁の護衛 トリニティ コンプリートエディション』という一つの作品として紹介する。
作品の面白さ
キャラゲーの最高傑作
面白さのポイントは登場人物にある。
立ち絵のあるキャラクターは合計で40人を超える。
そして単に数が多いだけではなく、キャラ同士の掛け合いの面白さこそ暁の護衛シリーズの最大の魅力だ。
シナリオについては学園ラブコメを基調としており全体的に明るいストーリーとなっている。
もっとも、ボディーガードという職業と禁止区域という極貧のスラム街をテーマにしているためバトルものでありサスペンス要素もある。
ラブコメとサスペンスの比率は各タイトルごとに異なってくる。
①暁の護衛(無印)は大半が学園ラブコメと言っていい。
②暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜は①のファンディスクという位置づけなので雰囲気は基本的に①を踏襲している。
③暁の護衛〜罪深き終末論〜はタイトルに「罪深き終末論」とあるようにサスペンス色が強まり、キャラ同士の掛け合いを維持しながらシナリオに深みが出てくる。
シリーズ作品でありながらタイトルごとに雰囲気の異なるシナリオを楽しむことができるのも暁の護衛シリーズの特長だ。
とはいえ、最初から「罪深き終末論」までの一連の構想でストーリーが作られているためシリーズ全体で一貫性が保たれている。
その意味でも各タイトルをバラバラに考えるのではなく『暁の護衛』という一つの作品として見るのが妥当だろう。
あり得ないことは分かっていても管理人が未だに続編を望んでしまう作品だ。
なんだったら自分で続きの小説でも書いてこのブログにアップしてやろうか、なんて思っていたりする。
構成
全タイトルで、
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成を採っている。
選択肢も分かりやすいので、まさにオーソドックスなエロゲといえる。
音楽
暁の護衛シリーズは音楽も秀逸だ。
曲数は全部で60を軽く超えていることに加えて耳に残るものも多い。
タイトル画面で流れる『ロマンス』はピアノの旋律が心地よく、日常曲である『ボーイ’S・トーク』はラブコメらしい明るい調子。
また、バトルものらしく『タイムリミット』や『Into the Gunsight』といったかっこいい曲も多い。
※『Into the Gunsight』についてはYouTube・ニコニコ動画ともにアップされている動画は核心的なネタバレのあるCGを用いている。特にニコニコ動画の方。
ネットで検索して曲だけ聴こうとする場合、未プレイの人は注意して欲しい。
さらに最も着目すべきはオープニングソングの多さだ。
シリーズで三作品ある上に、トリニティ発売時に無印と罪深き終末論にそれぞれOP曲を追加したこともあり、全部でなんと6曲もある。
もちろんそれぞれの作品にエンディングソングもある。
音楽のためだけに買ったとしても十分満足できるだろう。
【YouTubeリンク】
『SURVIVE!!』(無印OP) | 暁の護衛 トリニティ PV1 |
『Judge of a Life』(罪深き終末論OP) | 暁の護衛 トリニティ PV2 |
注意点
衣笠作品の特徴として雰囲気重視で細かい設定などをぶん投げて終わりにしてしまうところがある。
おまけに、増やしすぎたヒロインに律義に個別ルートを作ったものだから、この点もシナリオとぶつかってしまっている。
シナリオに高い完成度を求める人から不満の声が上がっているのも事実だ。
『暁の護衛』は完全にキャラゲー要素に偏重しているのでシナリオの美しさを求める人には合わない可能性がある。
あくまでキャラ同士の掛け合いを楽しめる人向きの作品と言える。
【暁の護衛 トリニティ コンプリートエディション】
【暁の護衛】
【暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜】
【暁の護衛〜罪深き終末論〜】
3位:我が姫君に栄冠を(みなとそふと)
面白度 | シナリオ | キャラ |
S | A+ | A+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B+ | B+ | B- |
タイトル | 我が姫君に栄冠を |
ブランド | みなとそふと |
ジャンル | ADV |
原画 | wagi |
シナリオ | タカヒロ |
DL価格 | ・無印:9,800円(税込) ・将軍の誘惑:2,200円(税込) |
シリーズ紹介
本編に加えてファンディスクとしてエスクドをヒロインとする『我が姫君に栄冠を 将軍の誘惑』がある。
①我が姫君に栄冠を
②我が姫君に栄冠を 将軍の誘惑
『将軍の誘惑』はエスクドのHシーンを補強するための抜きゲーであり、シナリオゲーの要素はほぼ皆無なのでエスクドが好きな人向けの作品だ。
作品の面白さ
国家間の闘争をテーマにした壮大な世界観
キャラゲーブランドのみなとそふとだけあって立ち絵のある総キャラクター数は60人を軽く超える。
しかし、本作の魅力はキャラではなく明らかにシナリオだ。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
ハイクーン大陸における三国間の闘争をテーマとしており、豊富なキャラクターと相まって壮大な世界観が展開される。
個別ルートは3人のヒロインに連動するため、必然的に進むルートによって敵味方が入れ替わることになる。
また、国家間の闘争がテーマであるため当然バトルものだ。
一見キャラゲーのように見えるがハイクーン大陸に隠された謎という三国間の闘争とは別のテーマもあり、シナリオが進むごとに物語は核心へと迫っていく。
ストーリーを盛り上げるために贅沢にキャラクターが使われており、単純な面白さだけなら今回紹介した作品の中ではナンバーワンと言っていい。
購入記事を見てもらえれば分かる通り、管理人は基本的にエロゲを通常価格で買うことはない。
そんな私が体験版をやって面白過ぎて即通常価格で購入してしまったのがこの『我が姫』だ。
おまけに、全ルートを一気にクリアしてしまった。
いつもなら一つのルートを攻略したら、一旦別の作品のルートをやって冷却期間を置いているのだが。
今後このレベルの豪華な声優陣を擁するシナリオゲーは生まれないかもしれないと思っている。
構成
各国に関連する主要なルートで構成されており、ルートの攻略順は完全に固定されている。
すなわちストーリーは基本的に一本道だ。
シナリオに力をいれているため攻略順固定は必然といえ、面白さの観点からは好意的に評価してB+ランクと高めの評価をした。
音楽
みなとそふとは音楽にもかなり力をいれているブランドだ。
OPソングの『FORWARD!』もファンタジーな世界観を表現した良曲。
ゲーム中のBGMでは特に戦闘曲が優れている。
『縁が呼ぶ対峙』や『黒き侵攻』といった迫力あるBGMが数多の戦闘シーンを盛り上げる。
【YouTubeリンク】
『FORWARD!』(OP) | 『我が姫君に栄冠を』OPムービー |
注意点
面白さの観点からは全くと言っていいほど欠点はない。
ただし、ストーリーについては前述した通り基本的に一本道だ。
ヒロインの攻略順を自分で選びたいという人はこの点に留意する必要がある。
【我が姫君に栄冠を】
【我が姫君に栄冠を 将軍の誘惑】
4位:流星ワールドアクター(Heliodor)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A+ | A | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | A | C+ |
タイトル | 流星ワールドアクター |
ブランド | Heliodor |
ジャンル | ADV |
原画 | 春夏冬ゆう |
シナリオ | 衣笠彰梧 |
DL価格 | ・無印:7,945円(税込) ・Badge & Dagger:3,480円(税込) |
シリーズ紹介
2024年1月現在においては2作品がリリースされている。
①流星ワールドアクター
②流星ワールドアクター Badge & Dagger
今後も続編が製作される予定。
作品の面白さ
ダークなバトルサスペンス
舞台となるのは他種族国家である第七共和国、通称「太陽に嫌われた国」。
「太陽に嫌われた」とあるように第七共和国の夜は明けることがない。
そんな第七共和国の治安を維持する警察官の一人が主人公・日流ルカだ。
ルカの所属する十三課、通称「ハコスミ」に新人警察官としてクラリスが配属されるところから物語は始まる。
ルカとクラリスの凸凹コンビが繰り広げる笑いありのダークなバトルサスペンス、それが『流星ワールドアクター』だ。
衣笠作品だけあってキャラゲー要素も強く、『Badge & Dagger』までで立ち絵のあるキャラクター数は30人を超えている。
『暁の護衛』と同様にキャラの掛け合いは最高レベルと言っていい。
そして最大の見どころはやはり白熱するバトルだ。
第七共和国は凶悪な犯罪者が跋扈する世界であるため、警察官であるルカやクラリスも命懸けの戦闘に何度も巻き込まれる。
主人公とその相棒が警察官であるため、ストーリーは終始犯罪の影を追う展開になっているため、緊張感が途切れない。
それでいて日常シーンではノリのいいキャラクターたちによるギャグを楽しむことができる。
ここまでシナリオの全てが面白いゲームというのは類がない。
すでにリリースされている2作品だけでも十分に面白いのだが、今後の続編次第ではさらにランキングの上昇も期待される。
まさに未完の名作と言っていいだろう。
構成
フルプライスである無印は、
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
続編である『Badge & Dagger』はミドルプライスであることもあり基本的には一本道となっている。
音楽
音楽にもかなり力が入っており曲数は2作で60を超える。
どこかコミカルでありながら剣呑さが感じられる日常曲の『太陽に嫌われた国』や、バトルの緊張感を掻き立てる『Encounter』など耳に残る良曲揃いだ。
音楽が世界観を表現しているゲームとしてはトップレベル。
OPソングも各作品にあり、いずれもバトルものでありかつサスペンスらしいかっこよさがある。
曲数の多さを考えるとサウンドトラックとしても楽しめる内容になっている。
【YouTubeリンク】
『蒼い月』(無印OP) | 流星ワールドアクター オープニングムービー |
『凍蒼』(Badge & DaggerOP) | 流星ワールドアクター Badge & Dagger オープニングムービー |
注意点
『暁の護衛』でも述べた通り、シナリオライターの衣笠先生は緻密さよりも雰囲気を重視する作風だ。
シナリオに粗さがあり、その最たる作品がこの『流星ワールドアクター』なのだ。
細かい整合性などが気になる人には合わないだろう。
おまけにまだ未完成であるため、どのシナリオも中途半端にぶん投げられているようなところがある。
起承転結の美しさを求める人には向いていない。
【流星ワールドアクター】
【流星ワールドアクター Badge & Dagger】
5位:コミュ- 黒い竜と優しい王国-(暁WORKS)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A+ | A | A- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
S | A | B- |
タイトル | コミュ- 黒い竜と優しい王国- |
ブランド | 暁WORKS |
ジャンル | 新美少女伝奇エンタメADV |
原画 | ・さえき北都 ・村瀬倫太郎 |
シナリオ | ・日野亘 ・衆堂ジョオ |
DL価格 | 7,124円(税込) |
作品の面白さ
望まない運命共同体による、戦争が始まる
突如として高倉市に現れた鋼の怪物アバター。
その正体は不明だが、分かっているのはアバターがコミュと呼ばれる5人の接続者で一組の集団によって操作されている事実だ。
主人公である瑞和 暁人(みずわ あきひと)はそれなりに平穏な人生を送っていたところ、時折街で見かける少女Aという謎の存在に導かれる。
そこで出会った4人の同胞と黒い竜。
接続者になった暁人の人生は大きく変わることに。
問題なのはアバターの破壊はコミュの接続者5人全員の死を意味することだ。
世の接続者全員が平和主義であれば問題ないが、当然そんなはずもない。
アバターという巨大な力を得た者たちによる覇権争いが勃発することになる。
シナリオの本筋は基本的にシリアス調の戦争ものということになる。
暁WORKSの作風は死人を出すのを躊躇しないが、その中でもこの『コミュ- 黒い竜と優しい王国-』は飛び抜けている。
バトルものと表現するのも生温いくらいだ。
とはいえ、コミュが5人一組であるため登場人物の数は必然的に多くなる。
キャラゲーとして仲間同士の愉快な掛け合いも豊富だ。
望まずに運命共同体となった5人、増え続けるアバターにそれを束ねる複数の集団、そして暁人の幼なじみでもある孤高の魔女・比奈織 かごめ(ひなおり かごめ)。
ストーリーは序盤から最後の最後まで手に汗握る展開が続く。
構成
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成だが、ルートロックが絶妙で上手く攻略順が固定されている。
また、共通ルートと個別ルートの分量もパーフェクトに配分されている。
共通ルートも長いが盛り上がる個別ルートはさらにボリュームが確保されており、体験版がピークだった、とがっかりすることもない。
私がこれまでプレイした全てのエロゲの中で、シナリオ全体の構成に非の打ち所がなかったのがこの『コミュ- 黒い竜と優しい王国-』だ。
音楽
暁WORKSは音楽にも力を入れているブランドだ。
OPソングが1st、2ndと2曲あることに加えて挿入歌も複数用意されている。
そしてそれらすべてが良曲だらけだ。
また、歌だけではなくBGMにも力が入っており、曲数も40曲以上ある。
日常曲から戦闘曲までハイレベルな曲が多い。
さらに言えば、シーンごとの曲の使い方も上手いように思う。
特に戦闘曲。
シナリオ構成だけでなく音楽についても製作者のセンスが感じられる。
注意点
攻略順固定はシナリオを面白くするために必要だとはいえ、ヒロインを自由に攻略できないことは注意する必要がある。
また、ヒロイン数は多いものの、ルートは全部で5つしかない。
必然的に一つのルートで複数のヒロインのHシーンが出現するため主人公がヤリチンのように見えるところがある。
シナリオゲーにおいてはエロとシナリオは分けて考えるべきだと思うが、切り替えが上手くできない人には不快かもしれない。
【コミュ- 黒い竜と優しい王国-】
6位:あやかしびと(propeller)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A+ | B+ | A+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B+ | C |
タイトル | あやかしびと |
ブランド | propeller |
ジャンル | 学園青春恋愛伝奇バトルAVG |
原画 | 中央東口 |
シナリオ | 東出祐一郎 |
DL価格 | 3,080円(税込) |
シリーズ紹介
『あやかしびと』には『クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜』というファンディスクがある。
タイトルから分かる通り、『あやかしびと』と『Bullet Butlers』のファンディスクとなっており、双方のキャラクターが入り交じってシナリオが展開される。
①あやかしびと
②クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜
作品の面白さ
バトル?実は学園青春ヒューマンドラマ
propellerの処女作にして代表作なのがこの『あやかしびと』だ。
人妖病と呼ばれる病気に感染し特異な能力を持つに至った人間、すなわち、「人妖(じんよう)」をテーマにしている。
タイトル画像からも分かる通り典型的なバトルもので、全ルートで白熱した戦いが繰り広げられる。
そして、propeller作品だけあって人死にもあり、シリアスなシナリオになっている。
しかし、実のところ『あやかしびと』はバトルの要素よりもジャンルにあるように学園青春ドラマの要素が強い。
気の置けない学友たちとの笑いありの日常も見どころの一つ。
もちろん恋愛シーンも十分だ。
そしてなにより、propellerと言えば、サブキャラクターが主役を喰ってしまうことだろう。
エロゲなのにサブキャラの男どもがいい味を出しまくる。
さらに、『あやかしびと』固有の特徴として、イベントをCGではなく立ち絵で表現するというものがある。
ヒロインだけでなくサブキャラクターたちにも豊富な立ち絵の種類が用意されている。
実際にpropeller作品で一番面白いのがこの『あやかしびと』なわけだが、propellerというブランドがいかにこの処女作に力を入れていたのかがよく分かる。
構成
共通ルート→個別ルート
というお決まりの構成。
音楽
『あやかしびと』の唯一の欠点と言えるのがこの音楽になる。
致命的なのは曲数が少なすぎるということだ。
BGMは全部でたったの18曲しかない。
『あやかしびと』はボリュームのある作品なので、同じ曲を何度も何度も聴くことになる。
良曲は特定のシーンだけで流れる方が印象が強まるのでこの点は残念なところだ。
しかし、音楽そのものは決して悪くなく、むしろ良曲揃いと言っていい。
特に感動的な場面で流れる『五位鷺(ごいさぎ)』はエロゲにおける最高のピアノ曲だと思っている。
曲だけを聴くのもいいが、ゲーム中に聴くとよりその良さが感じられる。
注意点
シナリオ全体に占めるバトルのシーンが意外と少ないということがある。
どちらかと言えば青春学園ドラマの要素の方がメインだ。
白熱した戦闘シーンがたくさん見られることを期待するとがっかりする可能性がある。
また、各ルートも戦闘シーンまでの道のりが長く、学園でのラブコメが大半を占める。
正直に言うとバトルだけが目当てであれば『あやかしびと』をプレイするのはあまりおすすめできない。
バトルに力が入っているのは同じpropellerでも後述する『Bullet Butlers』や『エヴォリミット』になるだろう。
【あやかしびと】
【クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜】
7位:幻創のイデア 〜Oratorio Phantasm Historia〜(3rdEye)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A | A- | B+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | A+ | C |
タイトル | 幻創のイデア 〜Oratorio Phantasm Historia〜 |
ブランド | 3rdEye |
ジャンル | 現代伝奇ファンタジーサスペンス異能力ADV |
原画 | ・蒔田真記 ・榊MAKI |
シナリオ | ・不死鳥 ・四万十川清流 |
DL価格 | 7,124円(税込) |
作品の面白さ
人間と幻ビト<イデア>の物語
人である水瀬 優真(みなせ ゆうま)とイデアである赫(あかし)。
二人の主人公が交錯する物語、それが『幻創のイデア』だ。
7年前に起きた「ナグルファルの夜」と呼ばれる現象により、事件の現場となった東雲旧市街は壊滅的な被害を受ける。
東雲旧市街に住んでいた人々に大きな爪痕を残すことに。
天災にしか思えない「ナグルファルの夜」だが自然現象などであるはずもなく、その背後にはイデアという人とは異なる存在が。
確かに7年の間に移設された新市街はかつての機能を取り戻していた。
「ナグルファルの夜」は過去の出来事のように思える。
しかし、イデアをめぐる策謀も「ナグルファルの夜」さえも未だに真の解決はされていず、事態はより大きなうねりへと発展していく。
ストーリーは白熱する戦闘シーンの多いバトルものだ。
それでいてミステリーのような、謎に満ち溢れた不穏さも併せ持っている。
シナリオはバイオレンスの要素だけでなく、知性をも刺激する内容になっており、単純なバトルものとは大きく異なる。
また、立ち絵のある登場人物が20人を超えるキャラゲーでもある。
バトル、ミステリー、キャラとあらゆる要素が入り交じる異色なシナリオ、間違いなく3rdEyeの最高傑作と言っていいだろう。
構成
基本構成は、
共通ルート→個別ルート
となっているが、個別ルートにかなり強い癖がある。
個別ルートは、各主人公のルートが2本あり、そのそれぞれに各ヒロインのルートを入れ込むという特殊な構成だ。
ヒロインとの本格的ないちゃいちゃはエピローグに回されている。
独特で馴染みがなく、やや強引さも感じるのでCと低めの評価をした。
音楽
3rdEyeは全作品で歌からBGMまでハイレベルな曲が用意されている。
当然この『幻創のイデア』も良曲揃いだ。
まず、OPソングの『イノセンス』はエロゲソングの中でも屈指の名曲といえ、何度聴いても聴き飽きることがない。
ちなみにボーカルはヒロインの一人である剣咲 ノエル(けんざき のえる)の声優を担当する青葉りんごさん。
また、バトルものだけあって戦闘曲もかっこいいものが多い。
この点も3rdEye作品に共通している。
特に『Are you ready?』と『The flame of a fist』は他の複数の戦闘曲にもアレンジされており、戦闘シーンの雰囲気を高めている。
さらに、ピアノ曲である『優美なる午後』や穏やかに明るい『向日葵畑』など日常音楽も十分な聴きごたえがある。
全ての場面で音楽を楽しめる作品であり、音楽のために購入しても損することはないだろう。
3rdEyeの作曲を全面的に担当するまもも先生はエロゲ界でもトップレベルのクリエイターだ。
なお、ここで曲名を紹介した曲は全て体験版で聴くことができてしまう。
【YouTubeリンク】
『イノセンス』(OP) | 3rdEye 3rd Project『幻創のイデア~Oratorio Phantasm Historia~』PV |
サウンドトラック | 幻創のイデアSpecialCompilationSoundTrack PV |
注意点
ダブル主人公制など構成が独特という以外に面白さの観点からはこれと言った欠点はない。
【幻創のイデア 〜Oratorio Phantasm Historia〜】
8位:9-nine-(ぱれっと)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
A | A- | B+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | A- | B+ |
タイトル | 9-nine- |
ブランド | ぱれっと |
ジャンル | ここから始まるADV(ここのつここのかここのいろ) |
原画 | 和泉つばす |
シナリオ | かずきふみ |
DL価格 | 各3,080円(税込) |
シリーズ紹介
『9-nine-』は4人のヒロインのルートが個別に作成・販売されている。
①9-nine- ここのつここのかここのいろ
②9-nine- そらいろそらうたそらのおと
③9-nine- はるいろはるこいはるのかぜ
④9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと
作品の面白さ
4つの軸で繰り広げられる異能者たちの戦い
和泉つばす先生のかわいらしい絵柄からは想像しにくいが、完全にバトルものでありサスペンスだ。
しかも内容はかなりシリアスで、普通に死人も続出する。
決して絵柄から想像するようなかわいらしいシナリオではない。
だからこそ『9-nine-』シリーズはぱれっと作品の中でも絶大な人気を誇っているのだ。
主人公・新海 翔(にいみ かける)が住む白巳津川市(しろみつがわし)の白蛇九十九神社(はくだつくもじんじゃ)には神器が祀られていた。
ある日神器が破損したことをきっかけに街に異能者が現れる。
それと同時に不可思議な事件が。
困惑していた翔と都の前にソフィーティアと名乗る不思議な人形が現れる。
彼女は言う、異能の原因は神器の破損によってアーティファクトと呼ばれる異世界のアクセサリーが白巳津川市に散乱してしまったことだと。
事態の収束を図るため、ソフィは二人にアーティファクトの回収を依頼。
応じた翔と都は数奇な運命に巻き込まれることになる。
ストーリの中心になるのはアーティファクト所持者による異能を用いたバトルだ。
同じアーティファクト所有者同士、彼我に大きな戦力差はなく、アーティファクトの種類に応じて戦い方は様々だ。
必然的に戦闘は熾烈を極めたものなる。
戦闘シーンの盛り上がりは意外なほど高い。
つまり、かわいらしい絵柄からは想像もできない熱いバトルにシリアスなシナリオこそ『9-nine-』の魅力になる。
各ルート、つまり各作品は制作に時間差があるため後発の作品になるほどシナリオのレベルが上がっていくというポイントも見過ごせない。
プレイするほどに面白さは増していく。
もちろん、ヒロインとの甘い時間もしっかり確保されている。
緩急のバランスの良さも『9-nine-』が名作である所以だ。
構成
各作品が4人のヒロインの個別ルートになっているという特殊な構成。
4作品は発売順にシナリオが連続しているため、一本道でありヒロインの攻略順は選べない。
音楽
OPソング、日常曲、戦闘曲と全てにおいてバランスよく良曲が揃っている。
まず、日常曲としてタイトル画面でも流れる『under the moon』と『drowsing morning』はいずれもピアノにより奏でられる美しい曲調。
戦闘曲では一作目から流れる『unavoidable』は癖になるかっこよさ。
バトルを盛り上げる『can’t wait daybreak』も強いインパクトがある。
また、作品が進むごとに戦闘は激化してより迫力のある戦闘曲が追加されていく。
OPソングについて、各タイトルには別個のOPソングがあるため全部で4曲も楽しむことができる。
OPソングについては注意がある。
それは後半の作品である3作目と4作目のOPムービーにはネタバレが含まれているため2作目までをプレイする前に見てはいけないということだ。
個人的には3作目の『ハルトキ ~Spring Moment~』と4作目の『DEAR MY WAKER』こそ名曲だと思っているのでこの点は紹介する側として残念なところがある。
【YouTubeリンク】※3作目と4作目についてはムービー中にネタバレがあるので注意!
『ReAliZe』(9-nine- ここのつここのかここのいろOP) | 『9-nine-ここのつここのかここのいろ』デモムービー |
『ソラノキオク』(9-nine- そらいろそらうたそらのおとOP) | 『9-nine-そらいろそらうたそらのおと』OPムービー |
『ハルトキ ~Spring Moment~』(9-nine- はるいろはるこいはるのかぜOP) | 『9-nine-はるいろはるこいはるのかぜ』OPムービー |
『DEAR MY WAKER』(9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあとOP) | 『9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと』OPムービー |
注意点
各ルートごとに別作品として販売されており、かつ、攻略順が完全に固定されているという特殊な構成が最大の注意点となる。
シナリオを楽しみたければ一作目から順番にプレイするしかない。
【9-nine- ここのつここのかここのいろ】
【9-nine- そらいろそらうたそらのおと】
【9-nine- はるいろはるこいはるのかぜ】
【9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと】
9位:和香様の座する世界(みなとカーニバル)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A | A- | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | A- | C+ |
タイトル | 和香様の座する世界 |
ブランド | みなとカーニバル |
ジャンル | 神様姉妹のお世話をするADV |
原画 | みこしまつり |
シナリオ | 田中ロミオ |
DL価格 | 6,520円(税込) |
作品の面白さ
人と神が織りなす奇々怪々Wonderland
みなとカーニバルの最高傑作。
まず前提として、6,520円という価格からミドルプライスのあっさりしたゲームと誤解されるかもしれないが、フルプライス作品と何ら遜色ないということを断っておく。
みなとカーニバルらしくラブコメ調だがちょっと違う。
モブレベルだと頻繁に死人が出るので、コメディ色一辺倒というほどお気楽なシナリオでもない。
唯一の家族である祖父を亡くした主人公・梅園 遼河(うめぞの りょうが)は祖父の遺言に従い海鳴神社(うみなりじんじゃ)で生活することになる。
ところが神社で生活を始めたその夜に不思議な現象を体験し、封印されていた和香と出会う。
うっかり封印を解いてしまったばかりに和香に襲われるはめに。
しかし復活直後の神は空腹で力もない。
なんとか神の餌付けに成功した遼河は和香との奇妙な同棲生活を始める。
数千年もの間封印されていた和香も面倒見のいい遼河と生活するうちに現代世界の実情を知ることになる。
和香が現代の生活に慣れ始めたころ、遼河は和香から自分と同じように封印されているはずの妹を探すように依頼される。
その所在を突き止め何とか封印を解くことに成功。
新たな家族が増え、生活は賑やかさと激しさを増していく。
遼河が和香と琉々葉に出会ったのと同じ時期に、世間では妖怪が出没するようになり混乱の一途をたどっていた。
当たり前のように犠牲者も出る。
神社の神職として世間から頼られることもある遼河は金欠も相まって和香・琉々葉とともに魑魅魍魎(ちみもうりょう)退治へと乗り出すことに。
もっとも、遼河を取り巻く世界の怪異は、妖怪にとどまらない。
他の勢力や他の神の出現と相まって、物語は大きな運命へと展開していく。
シナリオの基本調はコメディではあるが、一貫してバトルものの要素も強い。
また、みなとカーニバルの作品だけあって登場人物数の多いキャラゲーでもある
立ち絵のある登場人物は20を軽く超えている。
もちろん数が多いだけではなくキャラ同士の掛け合いも楽しめる。
さらに、みなとそふと系列の作品のなかにあって『和香様の座する世界』の大きな特徴はシナリオ性の高さにある。
日本の神話を軸にしたストーリーが展開され、物語が進むほどに世界の謎に迫っていく。
起承転結がしっかりしてるため、キャラゲー要素に加えてシナリオそのものを楽しむことができるということだ。
キャラゲーブランドが創った濃密なシナリオゲー、それが『和香様の座する世界』といえる。
構成
基本的にほぼ完全な一本道。
特徴としてBADENDの数がやたらと多い。
ただし、分岐というほどのボリュームはなく、無視してもいいレベルの内容でしかない。
また、個別ルートはあるもののこちらもほとんどボリュームはない。
したがって、実質的には完全に一本道と考えていい。
音楽
まず、OPソングの『奇々怪々Wonderland』がいきなり名曲だ。
ゲームを起動するたびに聴かされることになる(そこはまあ良し悪し)。
BGMはALNEARという力のあるアーティストが作成している。
『宵闇に広がる灯り』『この世ならざる出来事』『迫る危機的状況』など、人と神、妖怪が交わる世界観を見事に表現している。
特に印象に残ったのが、『面白きことばかりの世を面白く』だ。
コメディ調の曲であり、聴く機会が多いので癖になるところがある。
高杉晋作にケンカ売ってるのかな?
さらに『天地生滅の理』は神々の雄大さが感じられる名曲だ。
※『天地生滅の理』についてYouTubeにアップされている動画には核心的なネタバレのあるCGが使われているので注意。
最後に、エンディング曲も心に響くものがあった。
私はあまりゆったりした曲は好みではないのだが。
シナリオだけでなく音楽についても、最初から最後まで隙のない作品といえるだろう。
【YouTubeリンク】
『奇々怪々Wonderland』(OP) | 『和香様の座する世界』OPムービー |
注意点
まず、シナリオが一本道であるということは理解しておく必要がある。
恋愛要素にはあまり力が入っていないということだ。
さらに内容について際立った特徴がある。
構成のところで触れた通りBADENDがやたら多い。
BADENDを回避してストーリーを進めるためにはそれまでに登場した選択肢をちゃんと見る必要がある。
全部の選択肢を見ないといけないかは未確認だが、攻略サイトなどを参照しない限り総当たりで確認することになるだろう。
これが面倒と言えば面倒だ。
分岐に何の関係もない選択肢も多い。
この辺も人を選ぶところだと思う。
【和香様の座する世界】
10位:魔法少女消耗戦線(metalogiq)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A | A- | A+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | A+ | B- |
タイトル | 魔法少女消耗戦線 |
ブランド | metalogiq |
ジャンル | 戦場の魔法少女ADV |
原画 | 上田メタヲ |
シナリオ | 丸谷秀人 |
DL価格 | ・DeadΩAegis:8,580円(税込) ・another record -ちいさきものたちのゆめ-:6,380円(税込) ・Cathedral Edition:14,080円(税込) ・パワーアップキット:5,280円(税込) |
シリーズ紹介
『魔法少女消耗戦線』シリーズは本編の『DeadΩAegis(デッド・エンド・イージス)』とファンディスクの『another record -ちいさきものたちのゆめ-』の2作品で構成されている。
①魔法少女消耗戦線 DeadΩAegis
②魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-
作品の面白さ
貞操を捧げよ!エロゲ版進撃の巨人
おいおい、魔法少女の凌辱ものだろ?
どう考えてもシナリオゲーじゃなくて抜きゲーじゃねーか!
そう思うだろう。
ところがどっこい、驚くべきことに『魔法少女消耗戦線』は純度100%と言っていいほどのシナリオゲーなのだ。
言ってしまうとエロはあんまり使えない。
何が進撃の巨人なのかというと、ストーリー序盤のキニスン指令の宣告に全てが集約されている。
「私は勝利の日のために君たちを消費する」
その言葉の通り、魔法少女たちのほとんどは戦場で散ることになる。
その損耗率たるや、4年で9割が死亡するという調査兵団以上だ。
時は2108年、人類の生存圏は月や火星といった宇宙空間にまで拡大していた。
さらなる生存圏の拡大を試みていた人類であったが、後にC.C(COSMIC CNIDARION(宇宙的刺胞生物))と呼称される謎の宇宙生命体から襲撃されることになる。
C.Cの力は驚異的であり、核兵器を含めた人類の持つ戦力ではまるで歯が立たない。
もはや人類は滅亡するしかないと思われたが、C.Cに対抗する力を持つものが現れる。
それが人類最後の砦”特殊戦技兵(とくしゅせんぎへい)”だ。
人類はC.Cによる地球への侵攻を防ぐため、戦争の最前線にカテドラルと呼ばれる巨大基地を建設。
特殊戦技兵を常駐させることに。
ここに統合宇宙軍特殊戦技兵団とC.Cによるいつ終わるとも分からない種の存続をかけた戦いが幕を開けることになる。
シナリオは大別すると2つの要素に分けられる。
一つは、宇宙空間における特殊戦技兵とC.Cによる巨大な戦力同士の戦争。
特殊戦技兵団は軍隊であるため、宇宙空間における大規模な集団戦は見ものだ。
もちろん個々は一騎当千の強者でもある。
もう一つは、特殊戦技兵がその戦闘力を維持するために性的興奮を高めるHシーンだ。
最大の特徴は登場人物たちのキャラクターがとにかく濃いということに尽きる。
そもそも人が死にまくる異常な空間での人間ドラマだ。
必然的に喜怒哀楽といった様々な感情が登場人物たちによって演出される。
人数が少ない分、各キャラクターの役割がきっちり定められており、強烈なインパクトを与えてくれる。
それはもちろんプラスのものばかりではない。
迫力満点の戦闘シーンに加えて、生死をかけた極限状況における少女たちの苦悩と葛藤が巧みに描き出されている怪作、それが『魔法少女消耗戦線』だ。
サンプルなどから受ける印象と実際にプレイした感想は全く別のものになるだろう。
構成
メインヒロインである飯塚みのりが主人公も兼ねているため、ルートの構成は若干特殊だ。
共通ルート後、選択肢によってシナリオ内容の異なる2種類のルートへ分岐する。
シナリオ性が高く選択肢とルートの関係もやや複雑なため、攻略記事も書いている。
もちろん推奨攻略順に触れる際にはネタバレを避けている。
気になった人は参考にしてほしい。
攻略自体は難しくないので自力でプレイしても何の問題もない。
音楽
実は『魔法少女消耗戦線』で一番素晴らしいのはシナリオでもキャラでもなくこの音楽かもしれない。
まず、OPソングの『a fig』が素晴らしすぎる。
管理人が知る限り、電気式華憐音楽集団の曲の中で一番いい。
初めて聴いたときは変な曲だと思ったのだが、ゲームをプレイしているうちにやみつきになってしまった。
というのもこの『a fig』、ゲーム中のいくつかのBGMにアレンジされて使用されているからだ。
もともとのメロディがいいのでアレンジ曲も素晴らしいのである。
特に、戦闘曲の『特殊戦技装備、展開!』はシナリオの展開と相まって全エロゲ戦闘曲の中でも名曲中の名曲といえるほどかっこいい。
また、FDで追加された日常曲『名探偵は事件を捜査しない』も『a fig』のアレンジであり、リゼットたち3人の笑えるやり取りとともにずっと聴いていたくなる楽しさがある。
他にも広大な宇宙での戦闘を想起させる『魔法少女vs魔法少女』など印象に残る曲が多い。
FDのOPソング『オパロスの鎖』も同じく電気式華憐音楽集団が担当しており、こちらの方が一般受けする曲かもしれない。
『a fig』同様に良曲だ。
管理人はゲームのクリア後もしょっちゅう起動して音楽を聴いている。
ゲーム自体をサウンドトラックと考えてもいいくらいだ。
なお、『オパロスの鎖』についてはゲームでフルバージョンを聴くことができる。
【YouTubeリンク】
『a fig』(DeadΩAegisOP) | Dead End Aegis – Official English Opening |
サウンドトラックサンプル | 【魔法少女消耗戦線DeadΩAegis】オリジナル・サウンドトラック-Demo- |
注意点
Hシーンに不愉快なものが多いという欠点がある。
凌辱ものなんだから当たり前と思うかもしれないが、『魔法少女消耗戦線』のHシーンは厳密には凌辱ではない。
どちらかといえば、虐待やハラスメント、拷問、嫌がらせといった方が適切だと思われる。
通常の凌辱ものは竿役が敵キャラなのだが、『魔法少女消耗戦線』の場合は竿役は味方であるはずの男性士官や職員たちだ。
ヒロインたちは本来はサポート役のはずの連中からひたらす嫌がらせを受ける。
残酷なのではなく単純にイライラするのだ。ヒロインが主人公を兼ねているのでなおさら。
しかも、似たような内容のHシーンが延々続くうえに、Hシーン中にシナリオ上の重要な情報が入っていたりする。
Hシーンにはシナリオ上の重要な情報を入れないというのがエロゲにおける暗黙の了解だと思うのだが。
管理人の印象として制作したブランドであるmetalogiqはこれまでのエロゲ界のセオリーを無視してやりたい放題好き勝手に作品を作ったように思える。
面白いけど異端、というのが正直な感想。
【補足】
魔法少女消耗戦線シリーズはもともとサブキャラクターにはボイスがなかったが、2024年4月にフルボイス版に一新された。
合わせて、フルボイスではない古いバージョンの所有者のためにパワーアップキットの販売も開始している。
【魔法少女消耗戦線 −Cathedral Edition− フルボイス版】
【魔法少女消耗戦線 another record −ちいさきものたちのゆめ− フルボイス版】
【魔法少女消耗戦線 another record −ちいさきものたちのゆめ− フルボイス版】
【魔法少女消耗戦線 パワーアップキット】
11位:時計仕掛けのレイライン(UNiSONSHIFT:Blossom)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
A | A+ | A- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B | B |
タイトル | 時計仕掛けのレイライン |
ブランド | UNiSONSHIFT:Blossom |
ジャンル | 昼と夜の学園ブレイクスルーAVG |
原画 | ・市川環 ・うらび ・ぺろ |
シナリオ | ・西ノ宮勇希 ・風間ぼなんざ ・市川環 ・南愛恵 ・小沢裕樹 |
DL価格 | ・単体:各6,050円(税込) ・3本パック:13,200円(税込) |
シリーズ紹介
全部で三部作となっている。
①時計仕掛けのレイライン-黄昏時の境界線-
②時計仕掛けのレイライン-残影の夜が明ける時-
③時計仕掛けのレイライン-朝霧に散る花-
作品の面白さ
全ての完成度が高いミステリーファンタジー
山奥にある全寮制の学園・天秤瑠璃学園(てんびんるりがくえん)、なんとそこには本物の魔術が生きていた。
とある事情で天秤瑠璃学園に入学することになった主人公の久我 満琉 (こが みちる)。
しかし、入学早々にトラブルに巻き込まれ高価そうな銅像を壊してしまう。
当然のごとく校内放送で呼び出され小太郎とともに学園長室に赴く。
弁償する覚悟であったが、意外なことにあっさりと許される。
その代わり満琉と小太郎にとある場所に行くよう指示する学園長。
その場所こそ、学園で起こる魔術的なトラブルの解決を一手に引き受けている特殊事案調査分室(とくしゅじあんちょうさぶんしつ)、通称「特査(とくさ)」であった。
もともと鹿ケ谷 憂緒 (ししがたに うしお)一人で活動していた特査に満琉と小太郎の二人が加わり、3人体制で事件を解決していくことに。
ストーリーの基本調はミステリーになる。
といっても殺人のような物騒な事件が起こるわけではなく、遺品(ミスト)と呼ばれる魔術道具の暴走が引き起こすトラブルを解決していく。
ミステリー要素については選択肢の数が多く、プレイヤーの推理力が試される。
もちろん散発的に発生するトラブルを解決していくだけではない。
特査は遺品絡みの事件を解決していく中で学園の持つ秘密に迫るという大きな流れが。
シナリオの特徴として、整合性が高く、かなり丁寧に作られている。
エロゲのミステリーは質の低いものが少なくない。
誤植なのか何かの伏線なのかよく分からなかったり、トリックがいまいちだったりと。
しかし、管理人がプレイした中ではそのような不備は全く見られなかった。
知的な満足感を得たい場合に『時計仕掛けのレイライン』シリーズ以上の作品はなかなか見当たらない。
選択肢の正誤数によってプレイヤーの推理力が評価されるというゲーム性もある。
シナリオの出来も素晴らしいが、シリーズ全体で立ち絵のある登場人物が20人を超えるキャラゲーでもある。
作品が進むごとにどんどんキャラクターが増えていくので、終盤に向けて面白さも増していく。
シナリオ・キャラ・ゲーム性とハイレベルに揃っている『時計仕掛けのレイライン』シリーズはミステリー好きじゃなくても楽しめる完成度の高い作品だ。
構成
一作目と二作目は、
共通ルート→個別ルート
というオーソドックスな構成。
三作目はシナリオが重視されており一本道となっている。
音楽
まず、一作目のOPソング『黄昏時のレイライン』はファンタジーとミステリーの融合を見事に表現している名曲。
BGMは穏やかなものが多い。
日常曲である『FLOW』や『Delusion Waltz』はミステリーファンタジーらしい不思議な世界観が表現されている。
三部作の中で何度も聴くことになるだろう。
さらにミステリーであるため、『vision』のような不穏さを表現する曲もある。
この曲は三作品全てのタイトル画面でも流れる。
総じて、派手さはないが上手く世界観が表現されている良曲揃いといえる。
ちなみに、BGMのギャラリーでは作曲者の曲についてのコメントを見ることができる。
【YouTubeリンク】
『黄昏時のレイライン』(時計仕掛けのレイライン-黄昏時の境界線-OP) | PS Vita「時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女-」オープニングムービー |
エロゲ版にはシグマという少女は登場しないことに注意。
注意点
面白さの観点からはこれと言った欠点はない。
しいて言えば、派手なバトルや残虐なシーンはなく、この記事で紹介している作品の中では大人しい部類に入るだろう。
ただし、シナリオのレベルが高く知的興奮を与えてくれるので決して刺激がないわけではない。
ゲーム性の部分について、選択肢の直後に不正解だと憂緒が答えを言ってしまう。
周回要素は薄いと思った方がいい。
【時計仕掛けのレイライン 3本パック】
【時計仕掛けのレイライン-黄昏時の境界線-】
【時計仕掛けのレイライン-残影の夜が明ける時-】
【時計仕掛けのレイライン-朝霧に散る花-】
12位:11eyes(Lass)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A- | A- | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | S | C |
タイトル | 11eyes |
ブランド | Lass |
ジャンル | 侵蝕世界学園伝綺ADV |
原画 | ・ちこたむ ・萩原音泉 ・小沢悠 ・鳴海ゆう ・KENGOU |
シナリオ | ・LEGIOん ・剣技マナ ・獅子雰麓 |
DL価格 | ・罪と罰と贖いの少女:2,800円(税込) ・Resona Forma:2,800円(税込) |
シリーズ紹介
『11eyes』は本編である『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』とファンディスクである『11eyes-Resona Forma-』から成る。
①11eyes-罪と罰と贖いの少女-
②11eyes-Resona Forma-
作品の面白さ
日常と赤い夜が交錯する世界
5年前に唯一の肉親である姉を喪った主人公・皐月 駆(さつき かける)は無気力な日々を過ごしていた。
幼馴染の水奈瀬 ゆか(みなせ ゆか)の健気な振る舞いで平静を保っていたものの、覇気のない様子は変わらない。
ところが、いつも通り友人たちと街で遊び帰宅する途中、駆とゆかは異常な現象に巻き込まれる。
突如裂ける空間、そして周囲は赤い世界へと変貌していた。
引用元:『11eyes-罪と罰と贖いの少女-体験版』
人も存在せず、誰とも連絡が取れない、おまけに得体の知れない怪物まで現れる。
平穏な日常は何の前触れもなく命懸けの極限状況へと変わってしまう。
シナリオの本筋はこの「赤い夜」でのサバイバルだ。
戦闘能力がなく怪物から逃げ回るしかない駆とゆかであったが、頼もしい仲間たちとの出会いがある。
主人公の仲間たちがその戦闘力を存分に振るうバトルものだ。
ストーリーが進むごとに仲間も増えていくためキャラゲーの要素も強い。
どいつもこいつも変人ばかりでキャラが濃い。
極限状態の「赤い夜」だけでなく、日常のコミカルな掛け合いも『11eyes』の魅力の一つ。
日常と「赤い夜」という設定が絶妙であり、緊張と弛緩が上手く調和されている。
駆とその愉快な仲間たちが「赤い夜」の謎に挑むミステリアスなファンタジーバトル、それが『11eyes』だ。
なお、詳細は音楽の項目で述べるが、『11eyes』は戦闘シーンのBGMがピカ一で、全エロゲの中でナンバーワンだと思っている。
ただでさえ迫力のある戦闘シーンがBGMの良さで5割増しに白熱することも忘れてはならない大事なポイント。
構成
本編である『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』のシナリオは基本的に一本道となる。
一応個別ルートもあるにはあるが、あまりにも短いのでおまけ程度と考えた方がいい。
各ヒロインの個別のエピソードはFD『11eyes-Resona Forma-』で補完されている。
『11eyes』は、特定のシーンまで進むと、主人公以外の視点でシナリオを見れる「クロスビジョン」というシステムを採用している。
音楽
エロゲ界最高の戦闘BGMを誇っている。
したがって、音楽の評価はSを付けた。
・『劫(あいおん)の眼』※劫は「ごう」と入力すると変換できる。
・『見よ、我が剣[こころ]は未だ折れぬ!』
・『千刃乱舞』
・『Valgar Souls From Hell』
など名曲のオンパレードだ。
他にも、『神は神のものを知りたまう』『玄月落魄』などかっこいい曲がとにかく多い。
かっこいい系の曲だけでなく、「赤い夜」の雰囲気を表現する『赤き死のワルツ』や、ピアノ曲『夢幻抱擁』など、あらゆる場面のBGMがハイクオリティだ。
もちろんOPソング『Lunatic Tears…』も忘れてはならない。
DL版の価格は2,800円と安くなっている。
サウンドトラックと考えても十二分に満足できる。
【YouTubeリンク】
『Lunatic Tears…』(11eyes-罪と罰と贖いの少女-OP) | Lunatic Tears… |
注意点
本編が一本道である点は人を選ぶかもしれない。
もっとも、ファンディスクで補完されているので特に問題もないだろう。
古い作品なのでシステム周りに快適さはない。
【11eyes-罪と罰と贖いの少女-】
【11eyes-Resona Forma-】
13位:ソーサリージョーカーズ(3rdEye)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A- | B+ | A- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | A- | B- |
タイトル | ソーサリージョーカーズ |
ブランド | 3rdEye |
ジャンル | 現代伝奇異能バトルサスペンスADV |
原画 | 蒔田真記 |
シナリオ | ・不死鳥 ・四万十川清流 |
DL価格 | 7,945円(税込) |
作品の面白さ
魔法が存在する世界での異能力バトルサスペンス
魔法が公式に認められている世界で立場の全く異なる二人の主人公が紡ぐストーリー。
魔法が生まれて12年、その存在は世間に認知されるだけでなく、人々の生活に利用されるまでになっていた。
さらに、魔法使い、通称「キャスター」を正式に育成する学園・国立第一高等魔法専科「アカデミー」まで作られており、主人公の一人・陸壬 陽斗(むつみ はると)はアカデミーの生徒の一人。
もっとも、魔法が生まれてからまだ12年しか経っていず、キャスターに対する管理が行き届いている状況ではない。
表舞台に立つ陽斗とは異なり、裏で暗躍する存在も数知れず。
そのような存在は「アウトキャスト」(野良魔法使い)と呼ばれ危険視されている。
もう一人の主人公であるセンリはアウトキャストとして歓楽街を根城に日々を過ごしていた。
さらに、公的な存在が必ずしも正義ではない。
魔法関連の製品を開発・販売する巨大企業「ATORI」にも裏がある。
そしてキャスターではなくとも、魔法をめぐる渦の中に飛び込む者も。
様々な思惑を持つ者たちの行動が複雑に交錯し、魔法をめぐる事態は大きく変動することになる。
『ソーサリージョーカーズ』の最大の魅力は、舞台となる人工島・海上魔法特区「アガルタ」の剣呑な世界観だろう。
政府主導で作られているはずなのに、裏社会のような雰囲気が蔓延している。
全体的にストーリーは夜に進行することが多く、穏やかな日常は少ない。
そのため、緊張感のあるシーンが多く手に汗握る展開を楽しむことができる。
また、登場人物数も多く3rdEyeの作品の中では最もキャラゲー要素が強い。
魔法をめぐる対立の中でそれぞれがいかなる立場をとるのかも見どころの一つだ。
現代日本を舞台にしたダークなバトルサスペンスの最高峰といえば、この『ソーサリージョーカーズ』になるだろう。
構4成
基本的な構成は、
共通ルート→個別ルート
となっているが、共通ルートと個別ルートの両方に独自性がある。
まず、共通ルートはノア以外の主要キャラ5人の視点が交互に進行する。
次に、個別ルートは『幻創のイデア』と同様に、二人の主人公のルートで構成されており、各主人公のルートの中にヒロインのルートが入れ込んである。
そして、『幻創のイデア』と同様に本格的なヒロインとのいちゃいちゃはエピローグに回されている。
音楽
3rdEyeの作品だけあって『幻創のイデア』と同じく音楽のレベルが高い。
OPソングは2曲あり、1stOPの『Unreal Color』、2ndOPの『Crystal of Beginning』ともに名曲だ。
BGMはダークなサスペンスらしさが上手く表現されている。
『予兆』や『陰謀の向かう先は』、『真実は何処へ』など不穏さを感じさせるものが多く、いずれも耳に残るだろう。
そうかと思えば、明るい日常曲も豊富だ。
タイトル画面で流れる『魔法のある世界』や『鳥籠の日常』、『慌ただしく過ぎる日々』など多数の曲が贅沢に使われている。
中でもフィオナ専用曲の『清く正しき行い』は個性的な出だしもあって印象深い。
もちろん戦闘曲もかっこいいものが多い。
特にセンリルートの『 I can’t feel anything』はセンリの強さと戦闘シーンの熱さもあって何度も聴きたくなる曲だ。
歌からあらゆるBGMにまもも先生の作曲力が遺憾なく発揮されている。
【YouTubeリンク】
『Unreal Color』(1stOP) | ソーサリージョーカーズ 公式OPムービー |
『Crystal of Beginning』(2ndOP) | ソーサリージョーカーズ 公式2ndOPムービー |
サウンドトラックサンプル | 『ソーサリージョーカーズSpecialCompilationSoundTrack』 3rdEye Official PV |
注意点
構成がかなり独特なので人を選ぶところがあるかもしれない。
最大の問題は分かりにくいシナリオだと思われる。
分かりにくいというのは難しいという意味ではなく、登場人物たちが何を目指しているのかがよく分からないということ。
言ってしまえば『ソーサリージョーカーズ』は雰囲気ゲーなのだ。
3rdEye自体がシナリオゲーブランドであるにもかかわらず、シナリオの作りが緩いと感じることが多い。
一例を挙げれば、『ソーサリージョーカーズ』では魔法が生まれてたったの12年で公的に完全に受け入れられてしまっている。
公の動きの遅い日本ではあり得ない設定だろう。
設定の似ているゆずソフトの『RIDDLE JOKER』だと、アストラルと呼ばれる超能力が発見されてから一部の技術で実用的な実験が始まるまで20年もかかっている。
こちらは現実的な設定だ。
『ソーサリージョーカーズ』はキャラゲーでもあり世界観もいいのでもちろん面白い。
ただし、深いシナリオを楽しみたいという人には向いていないところがあるということ。
【ソーサリージョーカーズ】
14位:サクラノモリ†ドリーマーズ(MOONSTONE)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
A- | A- | B+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B- | A- | A- |
タイトル | サクラノモリ†ドリーマーズ |
ブランド | MOONSTONE |
ジャンル | 学園アクションスリラーADV |
原画 | やまかぜ嵐 |
シナリオ | 呉 |
DL価格 | ・1:7,480円(税込) ・2:6,380円(税込) ・1・2セット:11,880円(税込) |
シリーズ紹介
『サクラノモリ†ドリーマーズ』シリーズは無印とその続編である2の2作品で構成されている。
①サクラノモリ†ドリーマーズ
②サクラノモリ†ドリーマーズ2
作品の面白さ
夢の世界を舞台とする残酷なホラーバトル
主人公・吹上 慎司(ふきがみ しんじ)が住む桜之杜(さくらのもり)は普通の街ではなかった。
慎司が2年生に進級したころ、街では異常な事件が頻発することになる。
ある日慎司は学校を休んでいるはずのクラスメイトの幽霊を見てしまう。
幽霊が気になった慎司は自分なりに調査するもこれといった成果は得られず。
しかし、そんな慎司の様子を気にかけている人物がいた。
クラスメイトの桐遠 暮羽(きりとう くれは)だ。
彼女は言う、桜之杜ではボダッハと呼ばれる悪霊が増えており、最近の事件とも無関係ではない、と。
そして、自分はそんなボダッハを退治する組織”サクラノモリ・ドリーマーズ”の一員なのだと。
とある事情で桜之杜に潜む殺人鬼を追いかけていた慎司は手掛かりを求めてサクラノモリ・ドリーマーズに加わることを決意する。
かくして、サクラノモリ・ドリーマーズは桜之杜の平和を取り戻すため命懸けの戦いに挑むことになる。
シナリオの中心は、ボダッハの関わる事件の解決となる。
サクラノモリ・ドリーマーズが普通の自警団と違うところは、夢の世界で戦うことだ。
夢の中であれば悪霊であるボダッハを直接攻撃することができる。
もっとも、サクラノモリ・ドリーマーズは戦闘員のみで構成されているわけではない。
その能力は千差万別、各々の個性を活かして協力し合う。
『サクラノモリ†ドリーマーズ』最大の特徴は容赦のない残酷な描写だ。
かわいいヒロインからは想像できない修羅場がこれでもかと繰り広げられる。
単に気持ち悪いというだけではなく、心が痛むシーンも。
正義が悪を成敗するという痛快なストーリーではなく、ホラーであり人の死が絡む悲劇でもある。
仲間同士の明るい掛け合いもあるが、陰惨なシーンも多い。
本格的なホラーと緊張感のあるバトルが融合するシナリオで『サクラノモリ†ドリーマーズ』の右に出る作品はない。
構成
1については、
共通ルート→個別ルート
という基本的な構成。
共通ルートである本編がメインでありボリュームがある。
他方、個別ルートは比較的あっさりしている。
2については、完全に一本道となる。
音楽
音楽は歌、BGMともに電気式華憐音楽集団が全面的に担当している。
OPソング『瓦礫の夢』は、ハードなロック調であり、ホラーとバトルの融合を見事に表現している。
『魔法少女消耗戦線』の『a fig』と同様に名曲中の名曲だ。
個性が際立っておりクセになる良さがある。
全般的にレベルの高いBGMだが、中でもヒロイン固有のテーマと戦闘曲はずば抜けている。
『まどかのテーマ』はピアノ曲であり、穏やかな明るさの中に微妙な寂しさを含む。
作中のまどかのイメージにぴったりの名曲。
そして、最も良かったのが戦闘曲『counterattack』だ。
陰惨な雰囲気を吹き飛ばすかっこよさと力強さがある。
【YouTubeリンク】
『瓦礫の夢』(1OP) | サクラノモリ†ドリーマーズ OP |
『繋がらない世界』(2OP) | サクラノモリ†ドリーマーズ2 OP demo |
注意点
前述した通り、残酷な描写が多いため人を選ぶ。
苦手な人には全く向かない。
2作品で見たいものを見せてくれているので、描写意外に特に言うことはない。
【サクラノモリ†ドリーマーズ1,2セット】
【サクラノモリ†ドリーマーズ】
【サクラノモリ†ドリーマーズ2】
15位:レコンキスタ(コットンソフト)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A- | S | B- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B+ | C |
タイトル | レコンキスタ |
ブランド | コットンソフト |
ジャンル | ミステリアス・恋愛ADV |
原画 | ・あんころもち ・笹井さじ |
シナリオ | ・海富一 ・秋津環 ・大月佑佑 |
DL価格 | 5,029円(税込) |
作品の面白さ
命の意味を問う伝奇サスペンス
低予算で作成されたと思われる古い作品ではあるが、ダブル主人公制を採用したシナリオはよく考えられている。
舞台となるのは海を埋め立てて造られた人工島である「海上ニュータウン」。
引用元:『レコンキスタ体験版』
主人公の一人である槙野 慶吾(まきの けいご)がその娘であるもみじと共に海上ニュータウンへと引っ越してくるところから物語は始まる。
慶吾は妻の紅葉(もみじ)とすでに死別しており、もみじは紅葉と瓜二つの忘れ形見だ。
新天地での生活に希望を持っていた二人であったが、海上ニュータウンには不穏な噂が囁かれていた。
夜になると槍のような刃物を持ったセーラー服の少女に首を刎ねられる、と。
そのような事情も知らず、引っ越し初日の夜半にコンビニへと向かう慶吾。
ふと通りかかった公園から歌声が聴こえてくる。
歌声に導かれて向かった先にいたのはセーラー服を着た亡き妻紅葉だった。
引用元:『レコンキスタ体験版』
シナリオは一貫して死生観について考えさせられる内容になっている。
エロゲの中では珍しく、ダブル主人公制が上手く機能しているところもレコンキスタの特徴。
引用元:『レコンキスタ体験版』
男性キャラクターに一切ボイスが無かったり、画面中の立ち絵は一人だけだったりと、キャラゲーとしては弱い所がある。
引用元:『レコンキスタ体験版』
全体的に低予算で作成せざるを得なかったのではないかという事情が察せられる。
しかしその反動か、シナリオについては入念に作りこまれている。
終盤になればなるほど面白さは増していくストーリーはサウンドノベルのお手本と言っていい出来だ。
なお、メインヒロインである秋月 暮葉(あきづき くれは)の声優である北都南さんは一人で三役をこなしている。
特に幼女であるもみじの口調は本当に子どものようであり驚かされる。
かと思えば暮葉役では落ち着いた大人の女性を見事に演じている。
『レコンキスタ』が名作である理由の一つに主演声優の高い演技力がある。
引用元:『レコンキスタ公式WEBサイト』
スタッフが一丸となって創り上げた名作といえるだろう。
構成
基本構成は、
共通ルート→個別ルート
となっているが、個別ルートに特徴がある。
個別ルートは、共通ルートで主人公選択が行われた後、各主人公の個別ルートでヒロイン選択が行われる。
音楽
タイトルと同じ名を持つOPソング『Reconquista』がいきなり素晴らしい。
歌詞がシナリオを反映しておりシナリオゲーらしい名曲だ。
飛蘭さんのプロの歌唱力を堪能できる。
BGMについてはまず日常曲『Night Town』か美しいピアノ曲だ。
引用元:『レコンキスタ体験版』
そして最も印象深いのがホラー調の『suspicion』と『distortion』。
特に『distortion』は聴いているだけでも鳥肌が立つような曲であり、不安を煽るBGMでこれ以上のものを知らない。
他にも暴力的なシーンで流れる『ambivalent』など、曲数は少ないものの一曲一曲のインパクトが強い。
引用元:『レコンキスタ』
注意点
立ち絵は画面中に常に一人というシステム面の弱さがある。
シナリオでは、男性キャラクターにボイスがないのは残念。
また、残酷な描写もあるので苦手な人には向かない。
老婆心ながら攻略についても注意点がある。
一週目は、
①慶吾ルート→②慎也ルート
の順でプレイした方がいい。
選択肢を自然に選べば上記の順になるように作られてはいる。
しかし、ルートロックがかかっているわけではない。
もし一週目で慎也ルートに入ってしまったらやり直した方がいいだろう。
選択肢が誘導しているように①慶吾ルート→②慎也ルートの方が自然なシナリオを楽しめるはずだ。
【レコンキスタ】
16位:辻堂さんの純愛ロード・バージンロード(みなとカーニバル)
面白度 | シナリオ | キャラ |
A- | A- | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B- | B- |
タイトル | 辻堂さんの純愛ロード・バージンロード |
ブランド | みなとカーニバル |
ジャンル | 不良娘といちゃつくADV |
原画 | みこしまつり |
シナリオ | さかき傘 |
DL価格 | ・純愛ロード:6,930円(税込) ・バージンロード:6,380円(税込) ・セット:9,680円(税込) |
シリーズ紹介
『辻堂さん』シリーズは『辻堂さんの純愛ロード』とその続編である『辻堂さんのバージンロード』で構成されている。
またファンディスクに『みなとカーニバルFD』がある。
①辻堂さんの純愛ロード
②辻堂さんのバージンロード
③みなとカーニバルFD
作品の面白さ
美少女ヤンキーたちによる湘南伝説の幕開け
神奈川県の湘南を舞台とする美少女ヤンキーの物語だ。
みなとカーニバルの作品だけあって、やっぱり男よりも女の子たちの方がはるかに強い。
主人公である長谷 大(はせ ひろし)はヤンキーでも何でもない一般学生であったが、通っている稲村学園のクラスメイトになんと「喧嘩狼」・辻堂 愛(つじどう あい)がいた。
おまけに自宅の近所にはあの「皆殺し」こと腰越 マキ(こしごえ まき)がなぜか住み着いている。
さらに湘南では夜な夜な最大のグループである江乃死魔(えのしま)が暴れまわる始末。
そんな大にとって心が安らぐのは幼なじみである近所の惣菜屋「孝行(こうこう)」の看板娘である武孝田 よい子(むこうだ よいこ)だけ。
喧嘩狼の辻堂 愛、皆殺しの腰越 マキ、江乃死魔の片瀬 恋奈。
人は彼女たち三人を三大天(さんだいてん)と呼ぶ。
しかし湘南はヤンキーの聖地。
三大天だけでなく、総災天のおリョウをリーダーとする湘南最強のチーム・湘南BABYなど、湘南が落ち着く気配はない。
湘南の夏が平穏に過ぎたことはない
とは誰が言った言葉なのか、夏に向かって喧嘩に恋に熱い物語が幕を開ける。
みなとカーニバルらしく、キャラを存分に生かしたラブコメが楽しめる。
そうかと思えばシリアスなシーンもあったり。
辻堂さんシリーズは単なるラブコメではなく各ルートが起承転結のある一つの物語であるところが見どころの一つだ。
全体的にバカをやっているラブコメのノリだが、ストーリーが進むにつれしっかり盛り上がりを見せてくれる。
同じみなとそふと系列の学園キャラゲー『真剣で私に恋しなさい!』とは明確に違うところだ。
キャラゲー全開に見えて実は熱いシナリオこそ辻堂さんシリーズの魅力といえる。
続編ではさらに濃いキャラクターたちが増えて湘南の夏はさらなる熱気に包まれる。
『辻堂さん』シリーズは、キャラゲーかつシナリオゲー、恋に笑いにシリアスに、と全てが揃ったみなとカーニバルの代表作だ。
構成
一作目『辻堂さんの純愛ロード』は、
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
続編である『辻堂さんのバージンロード』は5人のヒロインの個別ルートで構成されている。
音楽
これまでの全作品で音楽を褒め続けてきたのだが、『辻堂さん』シリーズはややインパクトが弱い。
それでも印象に残った曲はヤンキーのバトルものらしく戦闘曲だ。
しょっちゅう聞くことになる『Follow You』はヤンキーのヤバい部分がヒシヒシと伝わってくる。
単調なところが逆にクセになる管理人もけっこう好きな曲だ。
さらに『One Night Last Battle』は『辻堂さん』シリーズがただのラブコメではないことを分からせてくれるかっこいい曲。
みなとカーニバルだけあって決して音楽のレベルは低くはない。
今回紹介する作品の中では低評価になっているのは管理人がその良さを理解しきれていないだけかも。
注意点
今更言うことではないが、ヒロインはほぼ全員ヤンキーなので暴力的な表現は日常茶飯事だ。
苦手な人は注意しよう。
主人公の大は一般人、ヤンキーとは別の世界で生活している。
ヒロインたちから見れば部外者であり、話の外にいるようなところがある。
同じみなとカーニバルの『和香様の座する世界』では主人公の遼河は主体的に物語に絡んでいた。
それに比べると主人公に物足りなさを感じることがある。
【辻堂さんの純愛ロード+バージンロード セット】
【辻堂さんの純愛ロード】
【辻堂さんのバージンロード】
【みなとカーニバルFD】
17位:エヴォリミット(propeller)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | A | C |
タイトル | エヴォリミット |
ブランド | propeller |
ジャンル | 超人的少年少女学園都市バトルADV |
原画 | 中央東口 |
シナリオ | 東出祐一郎 |
DL価格 | 5,908円(税込) |
作品の面白さ
それは災害<カラミティ>、エロゲ史上最悪の強敵たち
彼らの名は”災害の猿たち<カラミティ・モンキーズ>”
それぞれが災害の名を冠する存在。
主人公の不知火 義一(しらぬい よしかず)が目を覚ますとそこには想像もつかない世界が広がっていた。
義一が目を覚ましたのはどこにあるとも知れない学園都市フォーサイス。
なんと学生である鷹星 カズナ(たかぼし かずな)が市長を務めている。
カズナは目を覚ましたばかりの義一に自分たちの住む世界について説明するも、記憶喪失の義一は理解できない。
カズナの導きで義一は自分と同じように記憶を喪っていた一条 雫(いちじょう しずく)と再会する。
しかし、お互いに思い出すことは出来ず。
なんだかんだ言って意気投合する義一と雫にカズナは提案する、外に出てみないか、と。
同意して外に出る二人だったがそこにはとんでもない世界が広がっていた。
空中を歩く生徒
車並みのスピードで疾走する生徒
地面の中から現れる生徒
およそ目の前で起きている現象を信じられない二人にカズナは言う。
これは”パッチ”という鉱物の力なのだと。
パッチを装着した者は普通の人間をはるかに上回る身体能力と特殊な能力を手に入れる。
したがって、この世界で社会と調和した生活するにはパッチを装着しなければならない。
かくして、目覚めたばかりの義一と雫はパッチを装着し、新しい世界で新しい生活を始めることになる。
パッチを装着することで超人的な能力を手に入れた登場人物たち。
『エヴォリミット』はそんな彼らにより異次元のバトルが繰り広げられるSFファンタジーだ。
シナリオは純度の高いバトルものであり、propeller燃焼系3作品を含めこの記事で紹介する全ての作品の中で最も本格的なバトルが楽しめる。
敵はバルバロイと呼ばれるロボット軍団。
なぜかは分からないが人類を滅ぼそうとする存在だ。
強力ではあるが一定の攻撃しかしてこないバルバロイは、フォーサイス軍部の敵ではない。
100年続いた人類とバルバロイとの単調な戦争。
しかし、義一と雫の覚醒と時を同じくして事態は急展開することになる。
真に恐れるべきはバルバロイなどであるはずもなく。
常識を超えたパッチの常識をはるかに凌駕する力を持ったカラミティ・モンキーズたち。
圧倒的な強さを誇る彼らとの戦いこそ『エヴォリミット』最大の見どころだ。
災害<カラミティ>の名の通り戦力などという生温いものではない。
同じくカラミティ・モンキーズの一員であった義一と雫が絶望的な戦いに挑む。
構成
共通ルート→個別ルート
という基本的な構成。
音楽
『エヴォリミット』はpropeller作品の中でもずば抜けて音楽が素晴らしい。
OPソング『OVERDRIVE』は全エロゲソングの中でも名曲中の名曲で、これほど何度も聴きたくなる曲は珍しい。
白熱したバトルものの主題歌でありながら、故郷を離れた哀愁が感じられる。
ムービー中のココロの「オーバードライブ」がクセになる。
コメディ曲『電撃的ウォーキング』もやたらと耳に残る良さがある。
カラミティ・モンキーズのヤバさを表現する『魔人たちの唄』『窮極兵装』も雰囲気が出ている。
もちろん主人公サイドも負けてはいない。
『マキシマム・フレア』は反撃の狼煙。
激しい曲ばかりではなく、ピアノをベースとした日常曲『優しい巨人に包まれて』や心象世界を表す『クリスタル・ホール』など穏やかな良曲も多い。
全体的に極めて高いレベルを誇っており音楽のためだけにプレイしてもいいような作品だ。
【YouTubeリンク】
『OVERDRIVE』(OP) | 『エヴォリミット』オープニングムービー |
注意点
面白さの観点からはこれといった欠点はない。
強いて言えば『エヴォリミット』は『あやかしびと』や『Bullet Butlers』と違ってファンディスクがない。
魅力的なキャラ同士の絡みをもっと見たいという贅沢な悩みを持ってしまうかもしれない。
【エヴォリミット】
18位:G線上の魔王(あかべぇそふとつぅ)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | A | B |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B+ | C |
タイトル | G線上の魔王 |
ブランド | あかべぇそふとつぅ |
ジャンル | ヒューマンドラマAVG |
原画 | 有葉 |
シナリオ | るーすぼーい |
DL価格 | 7,124円(税込) |
作品の面白さ
勇者と魔王による命をかけた頭脳バトル
シナリオのいいエロゲといえば決まって名前が挙がるのがこの『G線上の魔王』だ。
主人公の浅井 京介(あざい きょうすけ)は学園生でありながら養父のビジネスを手伝い大金を動かしているという変わった人生を歩んでいた。
いつものように起床し学園に通う京介、そこにはいつもの仲間たちとのいつもの日常。
これまでと変わらぬ一日と思いきや、その日は同じクラスにおかしな転校生がやって来る。
彼女の名は宇佐美 ハル(うさみ はる)。
クラス委員である美輪 椿(みわ つばき)から名前を言うように促されしぶしぶ名乗る。
昔から勇者と呼ばれていた、だとか・・・。
それでも、なんだかんだと仲良くなっていく京介たち。
おかしな級友が一人増えただけだと思っていたのだが。
あるとき京介と街で出会ったハル、世間話をした後に京介に問いかける。
”魔王”、知らないか?
そこには普段のふざけた雰囲気は微塵も感じられない。
何を言っているのか理解できない京介、しかしその日を境に平穏だったはずの日常が変貌していくことに。
シナリオは勇者を自称するハルと、魔王と呼ばれる謎の存在との頭脳バトルだ。
ハルと京介を中心に、周囲の人間が事件に巻き込まれてしまう。
さらには京介の養父・浅井 権三(あざい ごんぞう)まで参戦し、事態はより深刻さを増していく。
サスペンスを基調としているが、ミステリーの要素も含んでおり、緻密な推理が繰り広げられることも。
『G線上の魔王』の最大の特徴は、絵柄から受ける印象とシナリオのシリアスさが全く一致していないことだ。
有葉先生の絵柄は萌え絵っぽいところがあるため、シナリオもラブコメのように柔らかいものだと思える。
しかし、”命をかけた、純愛”、のキャッチフレーズの通り終始緊張感に満ちている。
ビジネス用語や法律の知識が出てきたりと、大人な内容だ。
だからこそ『G線上の魔王』は広くおすすめされている。
本来エロゲは18禁であり、対象は大人なのだ。
ファンタジー要素も皆無であり、単純な学園ものでもない。
欲望や憎悪、そして愛。様々な感情が渦巻く濃密なストーリーを楽しむことができる。
構成
本編と個別ルートという少し独特な構成になっている。
本編は章で構成されており、各章からヒロインの個別ルートへと派生する。
つまり、その章でヒロインを選ばなかった場合、本編は次章へ進む。
音楽
音楽は素晴らしい。
それもそのはず、『G線上の魔王』というタイトルをバッハの『G線上のアリア』から取ってきているように、BGMはいろいろなクラシック曲をアレンジして制作されている。
『G線上のアリア』はタイトル画面で流れる。
他にも有名どころだと『空の夕』はエリック・サティの『ジムノペディ』、『疑惑』や『疑念』はフレデリック・フランソワ・ショパンの『革命』、『いま、最高か』はジャック・オッフェンバックの『天国と地獄』のアレンジだったりする。
サウンドトラックのリストを見ればわかるが、ほとんどのBGMがクラシック曲のアレンジだ。
素晴らしいことは素晴らしく、耳に残る曲ばかり。
しかし、さすがにオリジナリティがないのでやや厳しく評価しB+とした。
とはいえ、権三のテーマ『浅井権三』などピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの原曲『スラブ行進曲』を聴くと、よくこんなアレンジできるなぁと感心してしまうものもある。
名曲『雌雄』と『決着』の原曲がルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの『エリーゼのために』とかもう全く分からん。
もっとも、歌についてはオリジナルで作成されている。
OPソングの『Answer』、挿入歌の『Close Your Eyes』など文句なく名曲だ。
厳しく評価したとはいえギャラリーの曲数も67曲もあり、歴史に残る名曲のアレンジばかり。
下手なサウンドトラックよりもはるかに聴きごたえのある内容になっている。
注意点
欠点らしい欠点はない。
あえて細かいことを言うと、事実に整合性のないところがある。
残念ながらエロゲのシナリオは入念にチェックされていない雑なものが多い。
ミステリー要素のあるゲームとしては気になる欠点だ。
ネタバレというほどのものではないが、念のために伏せて一例を挙げておくので気になる人は下のアコーディオンを開いて見てほしい。
『G線上の魔王』の事実の不整合の一例
第二章でハルは京介の家族関係について調べており、養父が浅井 権三であることを知っている。
「お父さんは、浅井権三という名前ですよね?」と確認するシーンがある。
ところが第三章でハルが権三と初めて会った直後の京介のセリフ
「権三もいきなりだな・・・・・・」
に対し、ハルは、
「権三さんというんですか。ますますパパリンから遠ざかっていきますね」
と返すシーンがあり、権三の名前を知らなかったことになってしまっている。
面白さとは関係ないが、パッケージに描かれている時田 ユキ(ときた ゆき)は攻略対象外だ。
これは私も含めがっかりした人が本当に多い『G線上の魔王』の最大の欠点。
【G線上の魔王】
19位:素晴らしき日々 〜不連続存在〜(ケロQ)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | A- | B+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C- | A | D |
タイトル | 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 |
ブランド | ケロQ |
ジャンル | AVG |
原画 | ・籠目 ・基4% ・硯 ・karory |
シナリオ | すかぢ |
DL価格 | 7,980円(税込) |
作品の面白さ
思春期の少年少女による狂気の協奏曲
『素晴らしき日々』は精神世界をテーマとしたサイコサスペンスだ。
エロゲ界最大の問題作であり、ある程度エロゲの世界に身を置いたものならその名を知らぬ者のいない作品だろう。
物語は5人の主人公によって紡がれる。
水上 由岐 (みなかみ ゆき) CV:かわしまりの 物語“Down the Rabbit-Hole”の主人公 | |
間宮 卓司 (まみや たくじ) CV:佐山森物語 物語“It’s my own Invention”の主人公 | |
高島 ざくろ (たかしま ざくろ) CV:涼屋スイ 物語“Looking-glass Insects”の主人公 | |
間宮 羽咲 (まみや はさき) CV:西田こむぎ 物語“Which Dreamed It”の主人公 | |
悠木 皆守 (ゆうき ともさね) CV:夏村伊介 物語“Jabberwocky”の主人公 |
もちろん全員が対等な主人公ではない。
作品全体の実質的な主人公は皆守になる。
登場人物は学生が多いため、ジャンルとしては学園ものといえるかもしれない。
しかし、単なる学園ものがこれほどの知名度を得るはずもない。
本質的な内容は心理描写と哲学的表現を用いた狂気の物語だ。
少年少女のたちの歪んだ青春を題材にしており、ドラッグや強姦といった暴力的な表現も多い。
彼らの鬱屈したエネルギーが複雑に交錯し、“終ノ空(ついのそら)”と呼ばれる現象を生み出してしまう。
その起点となる少女が高島 ざくろだ。
“終ノ空”は学生だけにとどまらず、大人をも巻き込む。
一連の騒動は幼い少女にも平穏を許さない。
他に類をみない作風はエロゲ界でも異端中の異端であり、オリジナリティーは極めて高い。
シナリオが面白いエロゲを紹介するというのであればこの『素晴らしき日々』を紹介しなければモグリと言われても仕方がないほど異彩を放っている。
面白いことは間違いない。
しかし、はっきりと個人的な意見を言わせてもらえば、エロゲとしては完全に駄作であり、私はこの作品が嫌いだ。
名作という表現はどう考えても不適当だろう。
人を選びすぎる問題作、それが『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』だ。
構成
前述した通り、5人の主人公の視点でルートが構成されている。
音楽
作品は嫌いでも音楽の素晴らしさは認めざるを得ない。
戦闘曲のように派手な曲はないが、ピアノ曲『夜の向日葵』をはじめ心を打つ名曲が多い。
OPソング『空気力学少女と少年の詩』は知らない人はいないのではなかろうか。
作風とは真逆で明るい名曲。
ざくろの固有曲『夏の大三角形』はシーンと相まって強い感動を与えてくる。
強いインパクトを与えてくるのは美しい曲ばかりではない。
狂気の世界観が見事に表現されている。
『電磁波ト世界の関係』は単調ながら、ストーリーの先行きの不安を強く煽ってくる。
『電波リレーの勝者』は狂気と正気をつなぐようなメロディで、妄想ではない現実だからこその恐怖を感じさせる。
さらに、個人的には『updowncity』や『Tractatus Logico-philosophicus』を聴いているとシーンの異常さと合わせて頭がおかしくなりそうな感覚になる。
ちなみに『Tractatus Logico-philosophicus』とは哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの代表作である『論理哲学論考』のことだ。
しつこいが管理人は『素晴らしき日々』が嫌いだ。
平静ではいられなくなるような描写が多いことがその理由の一つだ。
にもかかわらず音楽は一流。
まるで麻薬のような魅力がある。
【YouTubeリンク】
『空気力学少女と少年の詩』(OP) | 【公式】素晴らしき日々 〜不連続存在〜 OPムービー【ケロQ】 |
注意点
最大の注意点はその内容にある。
テキストは心理描写や哲学的な表現が多く単純に読みにくい。
そして、シナリオの内容も全体的に気分の悪くなるようなものが多い。
ファンタジーと違って題材が現実的なので、リアルな不快感がある。
それなら体験版をプレイして合うか合わないかを確認したいところだが、体験版は本編とは関係ない。
体験版の内容は由岐の章である第1章“Down the Rabbit-Hole”になる。
しかし、“Down the Rabbit-Hole”には無印とⅡの2種類があり、体験版で見ることができるのは無印の方だ。
“Down the Rabbit-Hole(無印)”は本編とは無関係ではないものの直接のつながりはない。
つまり体験版用に作られたエピソードなわけだが、逆に体験版の意味がなくなってしまっている。
登場人物も少なく、暴力的な表現もないので本編の雰囲気を感じ取れるかといえば微妙だ。
不思議な世界観だけは感じ取れるのだが。
したがって、体験版で自分に合うか合わないかを判断するのは難しいといえる。
なお製品版では無印を見た後に“Down the Rabbit-Hole”をやり直すと最初の方で選択肢が出現するようになりⅡに分岐できるようになる。
構成による問題点もある。
本作は同じ時間軸を主人公を変えて繰り返すという構成になっている。
したがって、当然のことながら2回目以降は省略があるなど短くなっていく。
結果的に前半の章に比べると後半の章はボリュームがかなり少ない。
後半ほど盛り上がっていく方が好ましいため、ボリュームが薄くなっていくのは明らかな欠点だ。
気になった人は途中までプレイする覚悟で始めるのもありだと思う。
別にオールクリアしなければいけないわけではないのだから。
【素晴らしき日々 〜不連続存在〜 フルボイスHD版】
20位:真剣で私に恋しなさい!(みなとそふと)★
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | A+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | A | A |
タイトル | 真剣で私に恋しなさい! |
ブランド | みなとそふと |
ジャンル | 武士娘恋愛ADV |
原画 | wagi ※猟犬ルートアフター:犬江しんすけ |
シナリオ | タカヒロ |
DL価格 | ・無印:8,140円(税込) ・S:7,945円(税込) ・A-1235:各4,070円(税込) ・A-4:3,036円(税込) ・A 猟犬ルートアフター:2,500円(税込) |
シリーズ紹介
作品数が多く、全部で9作品もある。
①真剣で私に恋しなさい!
②真剣で私に恋しなさい!S
③真剣で私に恋しなさい!A-1
④真剣で私に恋しなさい!A-2
⑤真剣で私に恋しなさい!A-3
⑥真剣で私に恋しなさい!A-4
⑦真剣で私に恋しなさい!A-5
⑧真剣で私に恋しなさい!A 猟犬ルートアフター
⑨真剣で私に恋しなさい!Aプラスディスク
⑨真剣で私に恋しなさい!Aプラスディスクはパッケージ版『真剣で私に恋しなさい!A 』の特典であるためダウンロード版の販売はない。
作品の面白さ
武家娘たちが大暴れする青春群像劇
ヒロインはほとんど武士娘。
みなとそふとだけあって、やっぱり女の子が強い!
ヒロインだけでも40人を超えており、立ち絵ありの総登場人物数は100人を超える。
その数は『暁の護衛』の倍以上。
“まじこい”と言えばキャラゲーの代名詞だ。
舞台となるのは神奈川県川神市。
神奈川県って明言されてないけどどう見ても。
川神市にある川神学園は武士娘たちが通うユニークな学園。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
主人公は同じく川神学園に通う直江 大和(なおえ やまと)。
主人公だけあって腕っぷしは強いのかと思いきや、それほどでもない。
代わりに小賢しい知力の持ち主。
大和をはじめ幼なじみグループの風間ファミリーが中心となって繰り広げられるドタバタの学園ラブコメディだ。
体育祭に球技大会に文化祭にと自然な青春を満喫できる。
また、ヒロインが武家娘揃いだけあってお互いの武道の腕を競い合ったりもする。
しかしである、この『真剣で私に恋しなさい!』、そんな平凡なティーンエイジャーのラブコメで終わるはずがない。
体育祭だのなんだのと、そんなものは準備運動にもなりはしないのだ。
本番はここから。
KOS(キングオブソルジャーズ)に、模擬戦に、果ては川神大戦にと、乱闘を通り越してもはやちょっとした戦争だ。
実際にヒロインの中には軍人も多数いる。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
かわいいヒロインたちによる何でもありの熱いバトルを楽しむことができる。
そして、まじこいシリーズ最大の魅力は登場人物数の多さとその掛け合いにある。
前述した通り立ち絵のあるキャラクター数は100人を超える。
これほどまでに豪華な声優陣を起用したキャラゲーは後にも先にもまじこいシリーズだけだ。
下のリンクから登場人物108人のサンプルボイス付き紹介動画を見ることができる。
【YouTubeリンク】
シリーズが進むほどに個性的なキャラクターがどんどん追加されていく。
これだけの登場人物数でありながら、各キャラクターはデザインから設定まで丁寧に生み出されている。
もちろん全員が全員まともな奴ばかりではない。
中にはとんでもない悪党もいたり!?
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
それでも最後は嫌な奴など一人もいないと思わせてくれるキャラクター愛に溢れたシナリオになっている。
100人の人間がいれば100通りの人生がある。
愛に笑いに涙ありの青春群像劇であり、『暁の護衛』と双璧をなすキャラゲーの最高峰だ。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
構成
無印とSについては
共通ルート→個別ルート
という構成。
ただしSについては共通ルートは短く、個別ルート中心となる。
Aは各ヒロインの個別ルートのみとなっている。
音楽
キャラも多いが音楽の数もかなりの量だ。
もともとみなとそふとは音楽のレベルが高い。
それでいて曲数も多いのだから必然的に音楽の評価も高いものとなる。
無印・S・AのそれぞれにOP曲がありなかなかの良曲揃いだ。
しかし、まじこいシリーズで一番の歌となると無印のエンディング曲である『茜空』になる。
青春の一ページが終わってしまう哀愁を見事に表現している。
物語自体はS・Aとさらに続くわけではあるが。
©みなとそふと/無断転載を禁止します。
メロディのいい歌はアレンジされてBGMとしても使われることが多い。
『茜空』は『天上天下唯我独尊』や『勇往邁進』などまるで雰囲気の異なるBGMにアレンジされている。
まじこいはなんだかんだ言ってもバトルものだ。
戦闘曲にも良曲が揃っている。
特に戦闘曲は無印に良曲が集中している。
必勝の場面で流れる『男は勇気』『君のヒーローになるために』、真剣勝負の場面で流れる『魂の一撃必殺』など聴きごたえのある曲が多い。
もちろんSも負けてはいない。
『君のヒーローになるために』にはSでアレンジされており完成度は原曲よりも上だ。
『大決闘』も強キャラが増えたSらしく、迫力のある戦闘を盛り上げている。
まじこいシリーズはキャラの多さが目立っているが音楽も一流といっていい。
プレイ後はサウンドトラックとしても十分楽しめるだろう。
【YouTubeリンク】
『愛で斬るなら痛くな~い!』(無印OP) | 【みなとそふと】 真剣で私に恋しなさい!! OP |
『めちゃ真剣SSS!』(SのOP) | 【みなとそふと】 真剣で私に恋しなさい!S OP |
『恋のAは真剣勝負』(AのOP) | 2016.12.22発売『真剣に私に恋しなさい!A』パッケージ版デモムービー |
注意点
まじこいシリーズ最大の欠点はシナリオになる。
まず、青春群像劇といっているように各ヒロインに焦点を当てたシナリオになっているため、作品全体でこれといった方向性はない。
したがって、隠された真相のようなものはなく、続きが気になる展開が少ない。
また、作風にしても綺麗な内容であり、バトルものでありながら死人がでるようなシーンは一切ない。
つまり今回この記事で紹介している作品の中ではシナリオが浅いということだ。
ラブコメ基調のキャラゲーであるためハードなシナリオを求めている人には向かない。
これが同じくキャラゲーである『暁の護衛』や『レミニセンス』、同ブランドの『我が姫君に栄冠を』と順位で大きく差がついてしまっている理由だ。
【真剣で私に恋しなさい!】
【真剣で私に恋しなさい!S】
【真剣で私に恋しなさい!A-1】
【真剣で私に恋しなさい!A-2】
【真剣で私に恋しなさい!A-3】
【真剣で私に恋しなさい!A-4】
【真剣で私に恋しなさい!A-5】
【真剣で私に恋しなさい!A 猟犬ルートアフター】
21位:ChronoBox −クロノボックス−(NO BRAND)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | A- | B |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | C | C+ |
タイトル | ChronoBox −クロノボックス− |
ブランド | NO BRAND |
ジャンル | 失った記憶を取り戻してはいけないADV |
原画 | 長浜めぐみ |
シナリオ | 桜庭丸男 |
DL価格 | 6,380円(税込) |
作品の面白さ
繰り返される世界、消える仲間
学園ものでありながら、サイコ、ホラー、サスペンス、バイオレンスといったあらゆるダークな要素を備えている不気味な作品だ。
舞台となるのは海に囲まれた天使島(てんしじま)という孤島にある学園“EDEN(えでん)”。
引用元:『ChronoBox体験版』
ごくごく普通の学園生活。
主人公の期招来 那由太(きまねき なゆた)は平穏な日常を過ごしていた。
そんなある日、クラスメイトである姫市 天美(ひめじ あまみ)から落とした物を一緒に探して欲しいと頼まれる。
その落とし物とは“黒い箱”だとか。
大したことではないと快諾した那由太。
しかし、こんな些細な出来事が全ての事件の始まりになる。
シナリオは様々な要素を含んでいるが、サイコサスペンスが一番近いだろう。
天海の依頼をきっかけに平穏だった日常が動き出すことになる。
次々と仲間に起こる悲劇。
そして舞台は再び天使島へ。
不可思議な世界で起こる説明ができない現象の数々。
緊張と弛緩が絶妙に入り混じっており、プレイヤーを作品の世界へと引き込んでいく。
そしてシナリオが進むごとに緊張感は加速度的に増していくことも大きなポイントになる。
すべての謎が解明されるまで残酷な事態は続いてしまう。
斬新な切り口で紡がれるストーリーは類似作のない異色なものだ。
容赦ないシナリオが展開されるという点ではこの記事で紹介する作品の中でもトップレベル。
一度プレイを始めれば真相まで止まらなくなるだろう。
構成
基本的には一本道となる。
ただし、各ヒロインのエピソードはそれぞれ独立している。
攻略順固定といってもいいかもしれない。
音楽
珍しく音楽について低評価となってしまった作品。
印象に残った曲はたったの2曲しかない。
一つはタイトル画面で流れるフレデリック・フランソワ・ショパンのワルツ第9番、通称『別れのワルツ』だ。
ショパンと言えば『別れの曲』や同じワルツなら『子犬のワルツ』が圧倒的に有名だが、この『別れのワルツ』もかなり人気がある。
管理人個人は『別れの曲』よりも『別れのワルツ』の方が好きだったので、タイトル画面に使われていたときにはちょっと驚いた。
ただし、『別れのワルツ』は本作のオリジナル曲ではないのであまり高く評価することはできない。
もう一つは日常シーンで流れる曲『gentle march』。
名前の通り穏やかな明るい曲で、暗い世界観を忘れさせてくれる良曲だ。
『ChronoBox』の音楽が低評価になる理由の一つに、ギャラリーにBGMモードがないということが挙げられる。
管理人の知る限りギャラリーにBGMモードがないのはこの『ChronoBox』くらいだ。
さすがにサービス精神に欠けるところがある。
注意点
とにかくグロいシーンが多いので苦手な人には向かない。
また、ミステリー扱いされているようだが、推理という要素はない。
謎があるだけでミステリーになるのであればシナリオゲーはほとんどがミステリーになってしまうだろう。
サスペンスやサイコスリラーという方が近いと思われる。
ミステリー好きの人は要注意だ。
もっとも、自分で謎について考えてみるのは自由だ。
その点ではミステリー好きにも楽しめる内容になっている。
FANZAでダウンロードできる通常の体験版以外にも、ブランドの公式サイトから叶深 霍(かなみ にわか)と黒蝶沼 志依(こくちょうぬま しえ)のエピソードを無料でダウンロードできる。
管理人の好きなヒロイン1位、2位であり、頭の良さではビリと1位のヒロインだ。
この2人のルートは製品版には収録されていないが製品版と同等のクオリティーが確保されている。
興味がある人はプレイしてみてはどうだろう。
【ChronoBox −クロノボックス−】
22位:抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?(Qruppo)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | A- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B+ | S | C |
タイトル | 抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? |
ブランド | Qruppo |
ジャンル | ビッチなんかに絶対負けたりしないスタイリッシュ逃亡&バトルADV |
原画 | ・浮丸つぼね ・如月千幸 |
シナリオ | ・倉骨治人 ・神近ゆう |
DL価格 | ・単体:各8,580円(税込) ・1+2パック:14,850円(税込) |
シリーズ紹介
無印とその続編である2の2作品がある。
また、2のスス子ルートは単独で公式サイトにより販売されている。
おまけとして、2には無料のヒナミアペンドがある。
①抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?
②抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2
③抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2ヒナミアペンド
④抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2スス子ルートアペンド
作品の面白さ
ドスケベ条例をぶっ潰す!
エロゲにおけるエロとは本来性欲を満たすために存在している。
ところが、ここにエロをシナリオで徹底的に使い倒すという発明的試みを行った作品がある。
それが『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』、通称「ぬきたし」だ。
ちなみに「貧乳」は「わたし」と読む。
淫語をはじめ常時BGMのように流れる喘ぎ声、背景で普通にエッチしてる奴らがうじゃうじゃいたり。
Hシーンを全て取り除いたとしても一般作で販売することは不可能だ。
引用元:『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?体験版』
それなのにHシーンはあんまりエロくないとか・・・。
ストーリーは主人公の橘 淳之介(たちばな じゅんのすけ)とその妹である麻沙音(あさね)が舞台となる性乱島ならぬ青藍島(せいらんとう)に引っ越してくるところから始まる
引用元:『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?体験版』
そこは通称「ドスケベ条例」なる条例が施行されている魔境のような楽園であった。
引用元:『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?体験版』
ドスケベ条例はその正式名称を「青藍島の観光資源化に係る条例(条例第一九一九号)」といい、セックスを推奨、いや、実質的には罰則によってセックスを強制しているとんでもない条例なのだ。
条例のくせに法律どころか憲法までガン無視している。
島ではセックスをすることなど挨拶をするのようなもの。
至る所で当たり前のようにセックスが繰り広げられている。
引用元:『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?体験版』
しかし、愛のないセックスを真っ向から否定する処女厨の淳之介と男に興味のない麻沙音の兄妹にとって青藍島は地獄に等しい。
引用元:『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?公式WEBサイト』
望まないセックスを強制する島の秩序に抗うべく、淳之介は仲間と共に反交尾勢力NLNS(No Love No Sex)を立ち上げる。
シナリオは下ネタギャグ全開のコメディ。
ひたすらに淫語がまくし立てられる。
とはいえ、NLNSは条例をぶっ潰すために組織された集団。
条例の内容が正しく行われるように管理するSHO(SEIRANTOU HEALTH ORGANIZATION)からは敵視されることに。
学園にあるSHOの下部組織SS(えすえす)との激しいバトルも見どころの一つ。
実はおバカな隠語だけのゲームかといえばそんなこともない。
中にはシリアスな場面も。
バカと真面目、笑いとシリアスの配分は絶妙で、最初から最後まで目が離せないシナリオになっている。
Qruppoのスタッフはかなりハイレベルな人材の集まりだ。
優秀な人間が真剣にふざけて生まれた作品がこの『ぬきたし』なのだ。
そして、Qruppoは全エロゲブランドの中で最もサービス精神に富んだブランドでもある。
YouTubeの公式チャンネルではOPソングのFullバージョンをはじめ、没シナリオなどをおしみなく公開してくれている(そして一部の、というかそこそこの数の動画が規約に引っ掛かりBANされている)。
つまり、『ぬきたし』をプレイするということは作品単体ではなく、広大なQruppoワールドに入門することを意味する。
もはや『ぬきたし』はエロゲ界に足を突っ込んだ者の必修科目と言っていい。
未プレイのエロゲプレイヤーはモグリと言われても仕方がないだろう。
構成
1、2ともに
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
内容はめちゃくちゃだが基本的な部分は堅実に作られているゲームなのだ。
音楽
音楽は文句なしのS評価。
中でもOPソングが突出している。
シリーズ全部で3曲ありいずれも全て名曲だ。
しかも3曲全部YouTubeの公式チャンネルでFullバージョンを無料公開してくれている。
こんなサービス精神旺盛なブランド他にない。
もちろんBGMも素晴らしい。
ピアノで演奏される『強きモノども』はエロゲ戦闘曲の中でも名曲中の名曲といえる。
綺麗ながらも暗い旋律からは敵の強さ、不気味さがヒシヒシと伝わってくる。
『強きモノども』は体験版でも聴くことができる。
また、とあるキャラの固有曲である『Sentence Know』は同じくピアノ曲であり、いつまでも聴いていられる美しさがある。
『ぬきたし』の全ての曲の中で最も人の心を打つと言ってもいいだろう。
エロゲのあらゆる要素の中でも音楽だけは誤魔化しがきかない。
どれだけ内容がふざけているようでも、実力のあるスタッフが心血注いで『ぬきたし』を作ったということが音楽を聴けば分かるはずだ。
【YouTubeリンク】
『非実在系女子達はどうすりゃいいですか?』(1の1stOP) | 【1stOP】『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』OPムービー |
『THE APPLE IS CAST!』(1の2ndOP) | 【2ndOP】『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』OPムービー |
『BWLAUTE BEIRRD』(2のOP) | 【OP】『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2』(ぬきたし2)OPムービー |
『非実在系女子達はどうすりゃいいですか?』(Full) | 【公式】『非実在系女子達はどうすりゃいいですか?』FULL size【ぬきたし1stOP】 |
『THE APPLE IS CAST!』(Full) | 【公式】『THE APPLE IS CAST!』FULL size【ぬきたし2ndOP】 |
『BWLAUTE BEIRRD』(Full) | 【公式】『BWLAUTE BEIRRD』FULL size【ぬきたし2OP】 |
注意点
非常に丁寧に作られている作品であり、シナリオも起承転結がしっかりしている。
これといって欠点らしい欠点はない。
強いて言えば綺麗すぎる作品なのが欠点かもしれない。
下ネタのオンパレードでどこが綺麗なんだ?
と思うだろう。
確かに、アナルだのスカトロだの汚い表現だらけだ。
とても食事をしながらプレイできるようなものではない。
しかし、死人が出るわけでもなく、憎たらしい悪役がいるわけでもないのでこの記事で紹介している作品の中ではかなり穏当な内容だ。
深いシナリオを求めている人には向かないだろう。
【抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 1+2パック】
【抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?】
【抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 2】
23位:光輪の町、ラベンダーの少女(あかべぇそふとつぅ)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | B+ |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B- | B | C+ |
タイトル | 光輪の町、ラベンダーの少女 |
ブランド | あかべぇそふとつぅ |
ジャンル | ヒューマンドラマADV |
原画 | ・有葉 ・憂姫はぐれ |
シナリオ | 渋谷ハヤト |
DL価格 | DL販売なし |
シリーズ紹介
『光輪の町、ラベンダーの少女』は名作として名高い『車輪の国、向日葵の少女』の後継作品となる。
続編ではないためシナリオに深いつながりはないが世界観は共通している。
作品の面白さ
車輪の国?光輪の町だよ
『光輪の町』を紹介しておきながら『車輪の国』をランキングに入れないのは明確な管理人の意思表示だ。
『車輪の国』って巷で言われているほどじゃなくね?
ただし、世界観は共通しているので『車輪の国』の前提知識は知っておいた方が良い。
『車輪の国』の設定では我々が住む日本は小説の世界ということになっている。
両者の最大の違いは罪を犯した場合の裁かれ方にある。
現代日本では罪を犯し有罪が確定した場合は刑罰が科せられる。
しかし、『車輪の国』では罪人に犯した罪に応じた特別な義務を課すことによって更生を図ることになる。
この更生を指導するのが特別高等人という職業であり、『車輪の国』の主人公・森田 賢一(もりた けんいち)はその卵だ。
『光輪の町』をプレイするにあたって知っておけばいいのは、この特別高等人という制度がある異世界が舞台ということだけだ。
つまり、現代日本が舞台となっているわけではないということは意識しておこう。
実はこの『光輪の町』、巷ではけっこう酷評されている。
というのも、『車輪の国』という名作の後継作品でありながら、内容は大きく異なり普通のギャルゲー要素が強いからだ。
『車輪の国』が哲学的な問いかけを含むお堅いシナリオだっただけに、『光輪の町』の軽さのようなものが否定的に捉えられてしまっている。
世界観以外の共通点はなく、登場人物も被らない。
設定だけ理解したら別作品だと考えてプレイした方がいいだろう。
物語は学園をさぼろうとして公園で時間を潰していた主人公・椿 宗介(つばき そうすけ)の前にメインヒロインである桜木 ヒカル(さくらぎ ひかる)が現れるところから始まる
実はヒカルは宗介の通う新山学園(しんざんがくえん)への転入生。
この日を境に、退屈な日々を過ごしていた宗介の人生は大きく変わることに。
公式サイトでは「新山」は“にいやま”とルビが振られているが、作中では全て“しんざん”と読まれているのでここでも“しんざん”と表記する。
もちろん学園長も新山 大九郎(しんざん だいくろう)。
ヒカルが竹刀を持っていることから分かる通り、剣術が一つのテーマになっている。
やっていることは剣道なのだが、作中では一貫して“剣術”という言葉が使われている。
これは前述した通り『車輪の国』『光輪の町』の舞台が現代日本とは違う世界であることを表現しているのだろう。
スポコン要素があり、青春学園ものとして王道なところがある。
新山学園だけではなく他校の生徒も登場。
もちろん『車輪の国』の後継作品である以上、単なるスポコンの学園ラブコメなどであるはずがない。
ヒロインごとに深い事情があり、シリアスなシーンも。
管理人が『車輪の国』よりも『光輪の町』を評価する理由はその親しみやすさにある。
サンプルCGを見ればキャラクターが親しみやすいのは『光輪の町』の方だと感じられるのではないだろうか。
シナリオについても『光輪の町』の方が感情に直截的に訴える面白さがある。
それは『光輪の町』のオリジナリティーの低さの現れかもしれないし、単にシナリオライターの技量が低かっただけかもしれない。
しかし、必ずしも内容が高度で独自性が高ければ面白いというわけではない。
この作品はむしろ『車輪の国』の未プレイヤーや『車輪の国』が合わなかった人にこそプレイして欲しいと思う。
構成
共通ルート→個別ルート
という基本的な構成。
ただし、共通ルートが長く個別ルートは短い。
共通ルートメインの作品といえる。
音楽
全体的に世界観に合った良曲揃い。
特に耳に残るのがコメディ調の曲『やっちまった!』。
なんかやたらとクセになる。
ピアノ曲『安息の日』も心が落ち着く良曲だ。
BGMがいい感じにストーリーを支えるように作られているため、意外と気に入るのではないだろうか。
またあかべぇそふとの作品だけあってハイレベルな挿入歌も用意されている。
この曲は作中で聴くのがベストだと思うので紹介するのをやめようかと思ったのだが、せっかくアーティストがYouTubeにアップしてくれているのでリンクを貼っておくことにする。
なお、『光輪の町』はスポーツレベルとはいえ勝負のシーンもある。
かっこいい戦闘曲があるのもうれしいサプライズだ。
【YouTubeリンク】
『ラベンダーの純然』(OP) | あかべぇそふとつぅ 『光輪の町、ラベンダーの少女』 OPmovie |
『 メフィストフェレスの黙示』(挿入歌) | 【公式試聴】Zwei / メフィストフェレスの黙示 |
注意点
重要な注意点が3点ある。
1つは内容について、2つはシステム面についてだ。
①『車輪の国』とは別作品だと思ってプレイした方が良い
②ダウンロード版の販売はなくパッケージ版の中古を買うしかない
③パッケージ版はそのままではWindows8以降のOSでプレイできない
①について、内容については前述した通り『車輪の国』とは別作品だと思ってプレイしたほうが良い。
そもそも後継作品であってもシナリオライターが異なっている。
ちなみに『車輪の国』のシナリオライターは『G線上の魔王』のるーすぼーい先生だ。
②について、面白い作品であるにもかかわらずなぜかダウンロード版がない。
新品も入手が難しいので中古を購入することになるだろう。
③について、古い作品であるためそのままだとWindows8以降で起動できない。
あかべぇそふとつぅの製品サポートページから「Windows8 64bit環境動作対応パッチ」をダウンロードする必要がある。
→あかべぇそふとつぅ製品サポート
【光輪の町、ラベンダーの少女】
24位:RE:D Cherish!(CRYSTALiA)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | A- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B+ | C |
タイトル | RE:D Cherish! |
ブランド | CRYSTALiA |
ジャンル | AVG |
原画 | ・ぺろ ・サイキライダー ・noyF |
シナリオ | ・砥石大樹 ・若瀬諒 |
DL価格 | 無印:8,800円(税込) Eternity Blood:5,500円(税込) |
シリーズ紹介
『RE:D Cherish!』には続編である『RE:D Cherish!-Eternity Blood-』がある。
①RE:D Cherish!
②RE:D Cherish!-Eternity Blood-
作品の面白さ
無法地帯エリューテリアでのダイナー経営とガンバトル
CRYSTALiAというブランドは優等生的なブランドであり、バランスのいい作品が多い。
反面、パンチの弱い作品が多く、のめり込むほどの面白さが無かったりする。
しかし、この『RE:D Cherish!』は他のCRYSTALiA作品とは毛色が異なる。
舞台となるのは自由の楽園“エリューテリア”。
青い海に、白い砂浜。
美しい海に囲まれたリゾートアイランドであり、近代的な街並みを合わせ持つ楽園島ではあるが、それはエリューテリアの一側面にすぎない。
206X年、主人公の久阪 雪光(くさか ゆきみつ)がエリューテリアを訪れるところから物語は始まる。
故あって日本からエリューテリアに逃亡することになった雪光。
その目的の一つはダフトドリーム・ダイナー、通称“DDダイナー”というレストランでもう一度食事をすること。
ところが記憶を頼りに店を探しても見つからない。
そんな折、偶然自分の知己に似ている少女・ユニカ・ラスペランツァに出会う。
DDダイナーの場所を尋ねたところ、このユニカこそ今は亡きDDダイナーのオーナーの娘であり、すでに店は潰れてしまっていたことが判明する。
なんだかんだと紆余曲折を経て行動を共にすることになった雪光とユニカ、DDダイナーを復活させるために奮闘することに。
エリューテリアでの楽しくも危険な日々が幕を開ける。
『RE:D Cherish!』の最大の特徴はその剣呑な世界観になる。
エリューテリアは自由の街。
それはすなわち力さえあればなんでも実現できてしまうという無法地帯ということ。
この世界観を象徴するヒロインがデスことデスペラードだ。
日常的に銃撃戦が行われるエリューテリア。
モブレベルだとしょっちゅう死人が出る。
平気で死人を出す作風は他のCRYSTALiA作品であるKATANAシリーズとは明らかに一線を画している。
そんな『RE:D Cherish!』はバトルものであると同時にダイナー経営の物語でもある。
雪光とユニカを中心に、魅力的なキャラクターたちが店を盛り上げていく。
無法地帯エリューテリアでは当然大人しい客ばかりではない。
店をやっていれば荒事など日常茶飯事だ。
バトルと飲食店経営という異色の組み合わせが自由の街エリューテリアで絶妙にマッチしており、緊張と笑いのバランスが取れたシナリオを楽しむことができる。
さらに『RE:D Cherish!』は登場人物数の多いキャラゲーでもある。
続編である『RE:D Cherish!-Eternity Blood-』も合わせれば20人ほどのキャラクターが登場する。
いずれも世界観を反映した濃いキャラクターたちばかりであり、シナリオをより一層引き立たせている。
魅力的なキャラクターたちが無法地帯を舞台に食べて暴れる大忙しな大活劇、それが『RE:D Cherish!』だ。
CRYSTALiAで最も面白い作品といえばこの『RE:D Cherish!』になるだろう。
構成
無印については、
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
続編である『RE:D Cherish!-Eternity Blood-』は一本道であり、無印のユニカルートの続きになっている。
音楽
CRYSTALiAの音楽はALNEARという力のあるアーティストが担当しているので総じてハイレベルだ。
まず、OP曲は無印・『Eternity Blood』ともにかっこいい仕上がりになっている。
いずれもストレートで分かりやすいKATANAシリーズのOPとは違い、どこか力の抜けた余裕のある感じのメロディになっている。
自由の街エリューテリアの雰囲気にマッチしているといえるだろう。
特に無印の『BLOOD/ORDER』で要所要所で響く銃声やリロードの音がかっこいい。
日常曲では悪党の悪巧みを表現している『WriggleDiM shadoW』がやたらと印象に残る。
まさに無法地帯の暗部という感じの良曲だ。
実は、CRYSTALiAには全作品に共通する音楽の欠点がある。
それはバトルものであるにもかかわらずかっこいい戦闘曲が少ないということだ。
理由ははっきりしていて、作曲者の問題ではなくシナリオの問題なのだ。
CRYSTALiAの作品は戦闘シーンがやたらと長いという特徴がある。
普通に1時間くらい続いたりする。
そうなってくると、迫力のある短いループの曲はうっとうしくなってしまうのだ。
そのため単調で迫力のない戦闘曲を意図的に作っていると思われる。
こればっかりは作風との兼ね合いなので仕方のないところ。
ALNEAR作の激しくかっこいい戦闘曲も聴いてみたいものである。
【YouTubeリンク】
『BLOOD/ORDER』(無印OP) | PC用ゲーム『 RE:D Cherish! 』OPムービー |
『S4cRED†SORROW』(Eternity BloodOP) | PC用ゲーム『RE:D Cherish! -Eternity Blood-』OPムービー |
注意点
管理人が強く感じた欠点として、登場人物が全員サイボーグというのがある。
身体の一部ないし大部分を生体パーツというコンピュータに換えてしまっている。
これはヒロインたちも例外ではない。
食と性をテーマにしていることを考えるとなんとも微妙な設定だ。
食材もメチルアルコールだのタングステンだの全然美味しそうじゃない。
もう一つの注意点として、『RE:D Cherish!』はユニカゲーだということだ。
続編の『RE:D Cherish!-Eternity Blood-』にユニカルートしかないことから分かる通り、とにかくユニカが優遇されている。
ユニカが好きになれるかどうかで作品の評価は大きく変わるだろう。
【RE:D Cherish!】
【RE:D Cherish!-Eternity Blood-】
25位:Bullet Butlers(propeller)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | A |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B | B | C |
タイトル | Bullet Butlers |
ブランド | propeller |
ジャンル | 銃と魔法と執事と主のファンタジーAVG |
原画 | 中央東口 |
シナリオ | 東出祐一郎 |
DL価格 | 4,889円(税込) |
シリーズ紹介
『Bullet Butlers』には『クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜』というファンディスクがある。
『あやかしびと』のところでも紹介した通り、『あやかしびと』と『Bullet Butlers』のファンディスクとなっており、双方のキャラクターが入り交じってシナリオが展開される。
①Bullet Butlers
②クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜
作品の面白さ
護るべきは我が主。執事よ、銃を取れ!
非常に独特な世界観と設定を持っている作品。
かつて不死の王(ノーライフキング)と呼ばれる巨悪が世界を滅ぼそうとした。
劣勢であった人間族を含む地の民であったが、各種族の中から8人の勇者を選り抜いて命運を託す。
なんとか不死の王に打ち勝った英雄たち。
大神エル・アギアスは彼らの偉業を讃え、褒美として“聖紋”を授ける。
聖紋は英雄の証明であり大いなる力の源でもある(だったら戦う前によこせや、というツッコミはある)。
かくして、後世の歴史に永遠に刻まれる八英雄が誕生するとともに、英雄たちの偉業が未来永劫語り継がれるように聖紋は連綿と受け継がれていくことに。
2000年以上の時が流れ、英雄の末裔たる者はミスティック・ワンと呼ばれるようになる。
ミスティック・ワンには必ずしも直系の血の繋がりは必要なく、“聖紋”が発現するか否かが鍵だ。
このミスティック・ワンの候補の一人がメインヒロインであるセルマ・フォルテンマイヤーなのだ。
長々と語ったが、実はこの設定は本編にあんまり関係ない。
『Bullet Butlers』の独特な世界観の土台になっているので紹介した。
舞台となるのは河川と森林により5つのエリアに分けられたオセロットシティ。
当代のミスティック・ワンであるランド・フォルテンマイヤーを護衛するためテロリストとの戦闘という、激しいシーンから物語は始まる。
主人公のリック・アロースミスはフォルテンマイヤー家に仕える執事であり、主の護衛も行う。
獲物は黒禍の口笛(ベイル・ハウター)という意思ある拳銃。
すなわち、Bullet Butlerの一人というわけだ。
ランド・フォルテンマイヤーの養女であるセルマ・フォルテンマイヤーはリックの主であり、次代のミスティック・ワン候補でもある。
ドラゴンニュートは本来ドラゴンに変身することができるはずなのだが、セルマにはその能力がない。
完全なドラゴンに変身する能力のないセルマは同族からラッカー(欠落者)と蔑まれていた。
ミスティック・ワンの候補でありながらラッカーであるセルマ。
過去2000年の間にラッカーがミスティック・ワンを継承したことはない。
この事実がセルマの心を厭世的にしてしまう。
ラッカーであるとはいえ、候補者のうちはそれなりに安定した日々を過ごしていた。
しかし、ミスティック・ワンであるランドが対立組織である聖導評議会に暗殺されたことで事態は一変する。
セルマが望むと望まざるとにかかわらず、新たな戦いの時代が幕を開けることに。
propeller作品らしく、シナリオは完全にバトルもの。
執事の使命は主を命懸けで護ること。
いずれも高い戦闘能力を誇る強者揃いだ。
もちろん、戦うのは執事だけではない。
初っ端の銃撃戦から大量に死人が出るという容赦のない世界観であるため、戦闘における緊張感はトップクラス。
戦闘シーンの描写はブランドに共通してハイクオリティーであり、白熱したバトルを楽しむことができる。
しかも、単なるバトルものではなくミスティック・ワンをめぐる政治的駆け引きも行われたりという奥深さもある。
さらに、立ち絵のある登場人物数が20人を超えるキャラゲーでもある。
これもpropeller作品らしくサブキャラクターが主人公やヒロインを喰ってしまうほどに魅力的。
豊富なキャラクターによる笑いありの掛け合いに加えて、全ルートで様々な戦闘の組み合わせがあり、キャラゲー要素が十二分に発揮されている。
この記事では『あやかしびと』『エヴォリミット』『Bullet Butlers』のpropeller燃焼系3作品をすべて紹介した。
その中でもこの『Bullet Butlers』は最もシナリオの起承転結の完成度が高い。
魅力的なキャラと熱いバトルを考えると、この記事を書きつつ『Bullet Butlers』を過小評価してしまっているように思えてきた。
もしかしたら今後順位を大きく上げるかもしれない。
構成
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
音楽
全体的にミスティック・ワンという特殊な設定とオセロットシティという独特な雰囲気にマッチした絶妙な良曲でまとめられている。
タイトル画面で流れる『Elf』は心が落ち着くピアノ曲。
ゲームを開始すると荒々しいシーンが続くことが嘘のようである。
どちらかといえば不穏さを表現する曲に印象深いものが多い。
『Gargoyle』や『Devil』においては、嵐の前の不穏な静けさがヒシヒシと感じられる。
最も着目すべきはやはり戦闘曲だろう。
『Warrior』や『Knight』は開始早々から流れる戦闘曲であり自然なカッコよさがある。
そして『Bullet Butlers』で最高の名曲はここぞという戦闘シーンで流れる『Berserker』だ。
通常のロールプレイングゲームでいう中ボス曲というところ。
音楽が単独で主張しているのではなく、シナリオを引き立てるような渋い良曲が多い。
プレイすれば作品の世界観に自然と引き込まれるだろう。
注意点
全てが上手くまとまっているためこれと言った欠点はない。
独特な世界観が合うかどうかがポイントになるだろう。
propeller燃焼系三作品の中では、キャラも良く、シナリオも起承転結が上手くまとまっている。
強いて言えば、綺麗にまとまりすぎているからこそのクセの少なさが三作品の中で低順位になってしまった理由かもしれない。
【Bullet Butlers】
【クロノベルト 〜あやかしびと&Bullet Butlersクロスオーバーディスク〜】
26位:サメと生きる七日間(CUBE)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | B- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
B- | A | B- |
タイトル | サメと生きる七日間 |
ブランド | CUBE |
ジャンル | サメと織りなす恋愛ADV |
原画 | ・つるこんにゃく ・ゆさの ・倉澤もこ ・黒兎 |
シナリオ | ・三河ごーすと ・エノモトタケシ ・かざみもよう ・むらさきゆきや |
DL価格 | 10,780円(税込) |
作品の面白さ
B級ラブコメと思いきや、まさかのミステリー風サスペンス
ブランドはCUBE。
パッケージ絵のあからさまなラブコメ臭。
誰がどう考えたってヒロインとイチャイチャするだけのゲームだと思うだろう。
舞台となるのは鮫島というどこにあるのかもよく分からない南の島。
人口は1万5千人ほど。
主人公の深海 恭平(ふかみ きょうへい)が海で溺れているところから物語は始まる。
死んだと思った恭平だったが気が付けば砂浜に打ち上げられていた。
しかもどういうわけか記憶がない。
事態が呑み込めない恭平に追い打ちをかけるように海からおかしな少女が現れる。
「くう」だの「あぐ、あぐ」だのまともに会話が通じない上に素っ裸。
危険を感じた恭平は脱兎のごとくその場から逃げ出し、海の家へ。
するとそこには今にも海に飛び込もうとする金髪美少女の姿があった。
再会を喜ぶ麗水だったが、恭平には彼女についての記憶がない。
それでもお互いにノリのいい性格。
何だかんだ言って幼なじみ同士なこともあり記憶がなくとも意気投合してしまう。
するとそこへ先ほどの女の子が相も変わらず素っ裸のままで登場し、恭平に襲われたと麗水に告げてしまう。
誤解を招く状況で、なぜか絶妙なタイミングで現れる警察官のお姉さん。
あらぬ疑いをかけられ逮捕されてしまう恭平であった。
この雑で急な展開、どう考えてもB級コメディにしか思えない。
しかしである、この『サメと生きる七日間』、なんと正真正銘サスペンスなのだ。
誤解が解けて釈放される恭平であったが鮫島はおかしなことだらけ。
島中に野蛸(のだこ)という得体の知れない蛸がいる。
しかも島には蛸神信仰なるものがあり、野蛸に危害を加えることは御法度とされているとか。
食べるなんて問題外。
さらにおかしいのは毎日のように島民を襲うサメの存在だ。
人がサメに襲われ殺されているにもかかわらず、それを当たり前のように受け止めている島民たち。
恭平のクラスメイトである麗水や遠花も例外ではない。
野蛸にサメに謎だらけ。
プレイヤーを引き込むには十分な世界観だ。
サンプルCGからは全く予想できないほどにシナリオ性は高い。
また、立ち絵のあるキャラクターがヒロイン6人しかいないという少なさではあるが、各ヒロインには上手く役割が与えられているのでほとんど不満は感じないだろう。
島外からやって来たヒロインもいるので、恭平以外にも鮫島を客観的に見ることができる人物もいる。
そもそもなぜ陸上に蛸がいるだけでなくサメが出現することになるのか。
当然普通のサメであるはずがない。
異常な島の謎に記憶を失くした主人公が挑むことになるミステリー風サスペンス、それが『サメと生きる七日間』なのだ。
構成
共通ルート→個別ルート
というシンプルな構成。
ただし、高いシナリオ性であり攻略順が重要であるにも関わらずルートロックがかかっていない。
別に推奨攻略順を紹介する記事を書いているのでよかったら参考にしてほしい。
もちろんネタバレなく記事冒頭で推奨攻略順を確認することができるようにしている。
音楽
実は『サメと生きる七日間』は音楽がかなりハイレベルな作品だ。
OP曲、日常曲、ヒロイン固有のテーマ、戦闘曲、コメディ曲、不穏を表現する曲、エンディング曲、と全てにおいて全く隙が無い。
特に注目すべきは、不穏を表現する『ノーエンドオブ・ハードプロブレム』だ。
この曲を聴けば一発で『サメと生きる七日間』がただのラブコメではないことが分かる。
シナリオの雰囲気を一気にサスペンス調へと変えてしまう。
OP曲『泡沫の光』もなかなかの良曲。
歌手はくーこの声優を担当する夏和小さん。
メロディもいいが、サビの「私は罪人(つみびと)でしょうか?」という歌詞が特に印象的。
戦闘曲である『如法暗夜の抗戦』もCUBE作品とは思えないかっこよさだ。
管理人はこの曲を聴くとなぜかファミコン版のファイナルファンタジーⅡのボス戦用曲『戦闘シーン2』という曲が浮かんでしまう。ベヒーモス戦で流れるあれ。
明るい曲も良曲が多い。
ヒロイン固有のテーマの中でも『天音のテーマ』は天音らしい元気に満ち溢れた曲になっている。
そしてなんだかんだ言ってもコメディ要素もあり、やっちゃった系のコメディ曲も一級だ。
『これじゃまるでコメディ映画』は激しすぎない明るさがありずっと聴いていたくなる名曲と言っていい。
コメディ調の曲の中では全エロゲで最高の曲だと思っている。
シナリオだけでなく音楽も期待を大きく上回る作品なのだ。
【YouTubeリンク】
『泡沫の光』(OP) | 【サメと生きる七日間】オープニングムービー |
注意点
シナリオの設定が少々雑、登場人物数が少ない、反面ヒロイン数が多いためルート数も多く似たような話が繰り返される、といった細かい欠点はある。
しかし、全体的な完成度は高いため、細かいことを気にしなければ致命的な欠点はない。
前述した攻略順について、仮に自由に攻略したとしてもそこまで大きく印象が変わるわけでもない。
ラブコメ要素ももちろんあるが、サスペンスであることを理解してプレイするのならばこれといった欠点のない作品といえる。
【サメと生きる七日間】
27位:3days-満ちてゆく刻の彼方で-(Lass)
面白度 | シナリオ | キャラ |
B+ | B+ | B- |
構成 | 音楽 | Hシーン |
C | B- | D |
タイトル | 3days-満ちてゆく刻の彼方で- |
ブランド | Lass |
ジャンル | 無限軌道オカルティックサスペンスAVG |
原画 | ・萩原音泉 ・ramis |
シナリオ | ・LEGIOん ・剣技マナ ・玉沢円 |
DL価格 | 2,800円(税込) |
作品の面白さ
永遠に繰り返される3日間
冗談抜きでヤバいゲームであることは、タイトル画面やLOAD画面を見ただけで分かってしまう。
引用元:『3days-満ちてゆく刻の彼方で-体験版』
主人公の高梨 亮(たかなし りょう)は平凡な男子学園生。
朝起きて幼なじみの藤見 たまき(ふじみ たまき)といつものように綾篠(あやしの)学園へと通う。
通学路である綾篠公園は紅葉の真っ盛りであり美しい木々が並んでいた。
見慣れた景色の中をたまきと歩く心地よい時間。
そんな二人の視界に平穏とはかけ離れた異様な光景が現れる。
引用元:『3days-満ちてゆく刻の彼方で-体験版』
公園は立入禁止になっていたらしく現場の警官から注意を受けてしまう。
無事に解放されるものの、警官の態度から嫌な事態が連想される。
───殺されたのは綾篠学園の生徒なのでは───
被害者は一時限目を潰して行われた臨時の朝会で明らかとなる。
学園長曰く、殺されたのは柊 美柚(ひいらぎ みゆ)だと。
学園では知らぬ者のいないほどに有名な美少女である美柚の死は学園内の雰囲気を一変させることに。
さらに事件は美柚の死にとどまらない。
翌日2日目には学園の生徒が自殺によって犠牲となる。
自殺したのは亮とたまきの同級生である吾妻 梨花(あづま りか) であった。
関連性の不明な2つの事件。
そんな沈痛な雰囲気の中だからこそ互いの存在を意識せざるを得ない亮とたまきは強く惹かれ合う。
まさに幸せの絶頂にある二人。
しかし、この3日目に最悪の惨劇が訪れる。
亮の家で愛を確かめ合おうとしていた亮とたまきだったが、玄関から不審な物音がすると同時に停電。
状況を確認すべく玄関に向かう亮が見た者は不気味な黒い塊だった。
それが人だと分かったときにはすでに遅く、黒衣の男は亮の喉をナイフで刺突。
さらには半死の亮の目の前でたまきを滅多刺しにして惨殺してしまう。
絶望と憎悪の中、遠のく意識。
消える世界。
しかし、次に目を覚ました亮の前には3日前の平穏な朝があった。
※正確には2日前だと思われるが、公式の紹介文で「殺害される3日前の朝」となっているのでそれに倣うことにする。
引用元:『3days-満ちてゆく刻の彼方で-体験版』
かくして無限に続く地獄のような3日間が幕を開ける。
『3days』の名の通り、サスペンス、ホラー、ミステリー、バイオレンス、ファンタジー、バトルというあらゆる要素が入り混じった残酷な3日間が延々と繰り返される。
御想像の通り、主人公が死ぬことによって時間は巻き戻る。
LOAD画面ではご丁寧に死亡回数をカウントしてくれちゃっている。
引用元:『3days-満ちてゆく刻の彼方で-体験版』
カウントされる死亡回数から想像できる通り、『3days』はゲーム性の要素は選択肢しかないにもかかわらず攻略難易度は非常に高い。
上手く攻略するか、攻略サイトのお世話にならない限り本当に永遠の3日間になる。
製品版には一応お情け程度にナビゲーション機能が搭載されているが、逆に戦意を失いかねない複雑さだ。
プレイヤーにとって別の意味での地獄の3日間が始まることになる。
引用元:『3days-満ちてゆく刻の彼方で-』
古いゲームだけあって、エロゲの型のようなものが確立されていない頃の作品であるため類似作もなく極めてオリジナリティーが高い。
昨今のシステムが整っている分かりやすいゲームとは異なる、猛烈なストレス、もとい楽しさを味わうことができるだろう。
構成
繰り返される3日間の中でありとあらゆるイベントに遭遇することになる。
この「3日間」を抜けた先にあるものは自身の目で確認しよう。
音楽
同じLassの作品である『11eyes』と異なりバトル要素が薄いため、BGMも比較的おとなしい。
世界観を阻害しない出来ではあるものの、名曲らしい名曲はないためやや低評価になってしまった。
しかし、『3days』には一つだけずば抜けた名曲がある。
それがOP曲『Moving go on ~そこから見える未来~』だ。
エロゲソングといえばキャラクターのボイスを担当している声優さんが歌うケースが多いが、『Moving go on ~そこから見える未来~』はプロの歌手である川村ゆみさんが歌っている。
はっきり言って、歌唱力のレベルが全然違う。
この曲があるからBGMが目立たなくても低評価はできないのだ。
ゲーム内容にマッチした玄人好みの名曲を味わうことができる。
注意点
大きな注意点が3つほどある。
①残酷な描写が多いので苦手な人には向かない
②繰り返される3日間は苦行の面がある
③ナビゲーションの出し方
①について、残酷な描写をカットする機能があっても作品の傾向としてエグいシーンが多いことに変わりはない。
残酷な描写が苦手な人には向かないだろう。
②について、同じ時系列の3日間が延々と繰り返されるので、必然的に似たようなシーンが多くなる。
かといって全く同じではないので既読スキップで飛ばせるわけでもない。
似たようなシーン、似たようなテキストを何度も見るのは相当な苦行なので忍耐力のない人には向かないだろう。
③ナビゲーションの出し方については作品中に説明がないので解説しておく。
パッケージ版は修正パッチ(修正ファイルver2.01)を当てる必要がある。
しかし、Lassの公式サイトは既に閉鎖されているので公式からは入手できない。
この点については申し訳ないが管理人もお手上げ。
Wayback Machineのようなアーカイブから入手できるかは不明。
FANZAのダウンロード版は修正ファイルver2.01が当てられた状態なので、こちらは問題なくナビゲーションを使える。
ただし、ナビゲーションの出し方の説明がどこにもない。
出し方をマニュアル化しておくので参考にしてほしい。
なお、体験版にはナビゲーション機能はないので以下の画像は製品版を用いている。
【手順①】
以下のABCのいずれかの方法でコンフィグ画面を開く。
A:タイトル画面で「Setting」をクリック
B:ゲーム画面中で右クリックし「コンフィグ」をクリック
C:ゲーム画面右下の「Opt」をクリック
【手順②】
コンフィグ上部の中央「入力設定」をクリック。
【手順3】
マウスもしくはキーボードの中から設定したいボタンを選び「ナビ表示」を選択する。
このマニュアルではF1キーに設定する。
【手順4】
ゲーム中で設定したボタンを押す。
管理人はこのゲームを起動するたびにやり方を忘れて、パッチをあてようとするところから始める。
30分ほど困惑してようやく上記のやり方に行き着くという愚行を繰り返しているので自分の備忘も兼ねて載せておくことにした。
ちゃんと説明を入れていおいてくれたまえよFANZAさん。
【3days-満ちてゆく刻の彼方で-】