※ネタバレは避けていますが、内容を示唆する表現があるので注意してください。
評価とまとめレビュー
※評価の基準については「エロゲーレビューの評価基準」を参照してください。
評価ジャンル | シナリオ |
総合 | A- |
シナリオ | A- |
キャラ | B- |
音楽 | B+ |
Hシーン | B- |
構成 | A- |
コメント
”エロゲ史に残る名作”になりそこねた名作。
不満な点
なぜ超名作になりそこねたのか?
それは、
シナリオ>>>エロ
だから。
シナリオのレベルがずば抜けている反面、エロがいまいちだった。
かわいい絵柄に惹かれエロ目的で購入するとがっかりしかねない。
おすすめのポイント
サスペンスやミステリーといったダークなシナリオが好きな人は楽しめる作品。
「え、CUBEでしょ?
タイトル画像もかわいらしいし、どう見てもラブコメでしょ?
サスペンスは好きだけどこれは違うでしょ。」
という人のための物語。
いい意味での裏切りの連続を経験できる。
\無料の体験版だけでも十分面白いのでおすすめ/
基本情報
作品概要
タイトル | サメと生きる七日間 |
ブランド | CUBE |
ジャンル | サメと織りなす恋愛ADV |
原案 | 三河ごーすと |
シナリオ | ・三河ごーすと ・エノモトタケシ ・かざみもよう |
原画 | ・つるこんにゃく ・ゆさの ・倉澤もこ ・黒兎 |
音楽 | Peak A Soul+ |
発売日 | 2022年11月25日 |
DL価格 | 10,780円(税込) |
キャラクター・声優
【主人公】
【メインヒロイン】
【?ヒロイン】
【ヒロイン】
【サブヒロイン】
音楽
BGM
Peak A Soul+
OP曲
曲名 | 泡沫の光 |
歌 | くーこ(CV:夏和小) |
作詞 | yozuca* |
作曲 | 鈴木ぷよ |
編曲 | 鈴木ぷよ |
YouTube | 【サメと生きる七日間】オープニングムービー |
ED曲
曲名 | Departures |
歌 | Duca |
作詞 | Duca |
作曲 | ANZIE |
編曲 | ANZIE |
Hシーン
※Hシーン数、HCG数の情報になります。
ヒロイン | Hシーン数 | HCG数 |
くーこ | 4 | 8 |
天竺 天音 | 4 | 8 |
保城 麗水 | 5 | 7 |
船堀お姉さん | 4 | 5 |
吉切 遠花 | 2 | 4 |
眠深 真瑠璃 | 2 | 2 |
麗水&真瑠璃 | 1 | 1 |
攻略と攻略順
攻略と攻略順については別記事に記載。
本音レビュー
シナリオ【A-】
ジャンルについて
まずジャンルの話をしよう。
公式では「サメと織りなす恋愛ADV」とあるが、エロゲーである以上「恋愛ADV」なのは分かっているし、タイトルが「サメと生きる七日間」なのだからサメが出てくるのも分かっている。
普通に考えたらブランドがCUBEなのだからラブコメだと思うだろう。
しかし、体験版の最後で「生死を巡るミステリーアドベンチャー」という天音のアナウンスがある。
プレイ後に改めて考えると精子を巡っているような気がしないでもないが、そんなダジャレはどうでもいいだろう。
では、ジャンルはミステリーなのかと言うとそれも正確ではないと思う。
ゲームをプレイした印象から結論を言うと、ジャンルはサスペンスと考えるのが一番妥当だろう。
細かいことを言えば、サメと生きる七日間は、
ラブコメ、サスペンス、ミステリー、バトル、バイオレンス、ホラー、伝奇、SF、学園もの
といったあらゆるメジャーなジャンルの要素を持っている。
ちなみに私のサメナナについての印象の変遷は以下の通りだ。
【プレイ前】
「どうせCUBEだしいつものラブコメでしょ、今度は『海とサメのマリンブルー』かな?」
↓↓↓
【体験版終了後】
「やべーよ、こえーよ、これホラーだよ・・・。」
↓↓↓
【製品版終了後】
ネタバレが入ってしまうので見たい人だけ。
「これ『9-nine-』じゃん!!!」
シナリオの良かった点
良かった点は大きく2つある。
①作品全体を通してプレイヤーの予想を裏切ってくる意外性
②問題の起こし方が上手い
【①作品全体を通してプレイヤーの予想を裏切ってくる意外性】
この意外性がサメナナの一番の特徴だろう。
CUBEというブランドでいつも通りのかわいらしいタイトル画像、誰がどう考えたってラブコメだと思う。
しかし、共通ルートのみの体験版をプレイしてみるとその予測は簡単に裏切られる。
ラブコメではなく明らかにミステリーとかホラーとかそっち系だと。
ここで終わらないのがサメナナのいいところで、プレイヤーの予想を裏切る展開は個別ルートでも続く。
はっきり言ってこのシナリオを予測するのは不可能だ。
体験版プレイ時は、「体験版がピークのいつものパターンじゃないの?」と疑ったが、そんなことはなかった。
【②問題の起こし方が上手い】
エロゲーに限らず物語が面白いのは問題が発生するところだ。
典型的なのはバトルものでバトルが発生するところだろう。
サメナナはバトルものではないが、サスペンスとしてストーリ中に様々な問題が発生する。
ラブコメ要素もありながら、鮫島という異常な環境下で問題が立て続けに起きるので緩急のあるスリリングなシナリオが楽しめる。
この傾向は共通ルートだけではなく、個別ルートを含め、作品全体で続く。
量こそ少ないが「生死を巡るミステリーアドベンチャー」と言っているように、ミステリー要素もある。
シナリオの悪かった点
一言で言ってしまうと、とにかく雑。
何が雑なのかというと、
・設定
・描写
の2点がとにかく雑なのだ。
シナリオの大枠は良くできていたが、細部があまりにも雑だったので、この点から評価をAではなくA-とした。
さすがに気にならない人はいないレベルの雑さだろう。
【設定について】
設定という設定がとにかく何でも雑に感じた。
まず、舞台となっている島の設定がなかなか出てこない。
島の名称、島の大きさ、島民の人口など、基本的な設定は共通ルートで明示して欲しかった。
作品の世界観を考えると重要な情報だと思うのだが、かなり軽視されている印象があった。
特にネタバレにつながる情報でもないのに。
名前は「鮫島」、人口は15,000人ほど、島の全体像の地図が出てくるルートもある。
前提として知っておかないともやもやしながらストーリーを進めることになってしまう。
特に人口は、島民がサメに喰われて減っていく世界観では深刻さを知るために重要だ。
人名についても適当なところがある。
くーこは最後まで本名が出てこない。
どう考えても「くうこ」が本名なわけがない。
船堀お姉さんも最後まで「船堀お姉さん」で下の名前は出てこない。
何かの伏線として名前を隠しているのかと思ったらそんなこともなかった。
たいていのエロゲーだと、姓名のいずれかがキャラクター紹介で伏せられている場合、何らかの伏線であることがほとんどだ。
野蛸についてもよく分からない。
生物でもあれば非生物であるような描写もある。
一般常識としての設定も間違っていたりする。
医者になるために医学部を目指す遠花のセリフに
「4年、下手をするともっと島に戻れなくなる。」
というものがある。
下手をしなくても4年じゃ戻ってこれないよ?
医学科ではなく、看護学科に進学するのかな?
医学部医学科は6年制だ。
サメナナのテーマであるサメについても同様の問題があった。
サメの能力を失ったはずなのに能力が維持されているシーンで、
「どういう仕組みかは知らないが、(以下略)」
「どういう仕組みかは知らないが」って・・・、適当すぎやろ!
【描写について】
これはいわゆるご都合主義というやつだ。
特にアクションシーンでその傾向が顕著になる。
サメナナは人を襲うサメとのバトルものの側面があるので、アクションシーンもけっこうある。
身体的な能力の高いサメハンターである天音はともかく、ひどかったのは運動音痴の主人公のシーンだ。
特殊部隊の人でも成功困難と思われるミッションを紙一重で達成し続ける。
普通何度練習したってそんなの無理でしょ、と思われるような場面も一発突破してばかりだ。
「フィクションだから」と言ってしまえばそれまでだが、描写をていねいにしたり、ときどき失敗したり、といった工夫をしないとわざとらしさを感じてしまうレベルだ。
やってみたら上手くいっちゃいました、というノリが続くとやっぱり適当さを感じてしまうのだ。
シナリオまとめ
シナリオの筋そのものは意外性があり、絶えず刺激がありで、最近のエロゲーとしては珍しいシナリオ重視のゲームといえる。
しかし、その反動か、全体的に緻密さやていねいさに欠ける部分が多く見られた。
開発期間などけっこう大変だったのかもしれない。
ミステリー要素もあるのだから設定や整合性にはこだわって欲しかったところだ。
とはいえ、ボリュームもあり十分楽しめたので個人的には満足している。
キャラクター【B-】
各キャラクターはCUBEの作品らしく個性的で、主人公を中心とする掛け合いも楽しめる。
にもかかわらずB-とやや低めの評価をしたのは、立ち絵のあるキャラクターがヒロイン6人しかいなかったからだ。
さすがにシナリオゲーで立ち絵ありのキャラが6人というのはかなり少ない。
もう一点気になったのは、ヒロインの魅力がシナリオの犠牲になっているところだ。
『サメと生きる七日間』は明らかにシナリオが重視されている。
結果として、シナリオ以外の様々な面がシナリオに合わせる必要から微妙な出来になっているところがある。
主人公:深海 恭平
典型的な「やるときはやる主人公」であり、意外と頭も切れる。
それでいて、どちらかといえばいじられキャラなところがあり、性格も悪くない。
プレイヤーに受け入れられやすいのではないだろうか。
残念だったのは、有名動画配信者という設定が活かされていなかったところだ。
例えば、同じCUBEの『神様のような君へ』だと、主人公の城前塊斗は天才的なハッキングの技術を持っており、作品全体を通してその能力を遺憾なく発揮する。
恭平の動画配信者としての技術もどこかで発揮されるのかと思ったらそんなことはなかった。
やるときはやる、頭が切れる、愛されキャラ、といった抽象的な魅力はあるものの、深海恭平独自の魅力が薄いように感じられた。
眠深 真瑠璃
一番どうでもよさそうなヒロインだったので一番最初に攻略したら、それが正解だったヒロイン。
正解だった、というのは攻略順の話であって、キャラクターとしてはシリアスな世界観を構築する上で重要なキャラクターだ。
シナリオ面で『サメと生きる七日間』の世界観を知る上では一番手に相応しいヒロインだったと思う。
サブヒロインという性質から、Hシーン・HCG数も少ないため、かなり不遇な扱いを受けているヒロインといえるだろう。
サメナナには立ち絵のあるサブキャラクターがいない。
真瑠璃はヒロインではあるものの、サブキャラクターとしての性質も強いように感じた。
吉切 遠花
サブヒロインでありながら実はかなり人気のあるヒロイン。
主人公の記憶喪失という設定を非常に上手く活かしたシナリオだった。
記憶喪失になるってそういうことなんですよ。
ただし、記憶喪失自体は『サメと生きる七日間』の本筋のテーマではないため、ルートの尺は短く、作品全体であまり活躍しなかったのは残念なところだ。
キャラデザインもは悪くないのに、HシーンのCG数も4枚と少ない。
サメと野蛸を中心に回る世界観の中で魅力を発揮しきれなかったヒロインと言っていいだろう。
設定的にポテンシャルは高かったのだが。
保城 麗水
山あり谷ありの長めのシナリオで、一番楽しめるルートかもしれない。
キャラデザインもよく性格もいいので、シナリオ面では全く不満なし。
というか、6人中唯一シナリオ偏重の犠牲になっていないヒロインと言えるかもしれない。
そう、シナリオ的には何の問題もなかった・・・。
しかし、この娘のHシーンには猛烈な不満がある!
麗水についてはHシーンの項目で詳細に語りたいと思う。
天竺 天音
島の謎を解決する上では主人公の相棒的なポジションにいる。
キャラクターとしての印象は体験版と本編で差はなかった。
残念ながらシナリオの満足度は一番低い。
くーこ、麗水と共にパッケージに描かれており、重要なヒロインの一人のはずなのに、個別ルートは素直すぎる内容であり、ボリュームもくーこ・麗水と比較して少ない。
体験版の段階では一番個別ルートが面白そうだと思ったが、一番平凡なシナリオだった。
独自性の高いシナリオが展開されるサメナナの中では、シナリオが平凡すぎて逆に異質な感じがした。
ではいい所はなかったのかというと、天音はHシーンの構図が一番良かった。
ただし、キャラデザイン的にはおかずには使えないのだが。
くーこ
本作のメインヒロイン、何だろうと思う。
パッケージに一番大きく描かれているし、OPソング『泡沫の光』を歌ってもいる。
歌詞の内容からもくーこの心情を表現しているように思える。
幼い容姿に異様な言動、『サメと生きる七日間』のシナリオ上は必須のキャラクターといえる。
まさにシナリオのために存在するヒロインだろう。
しかし、どう考えてもメインヒロインとしての存在感はなかった。
それはつまり、くーこは表面上のメインヒロインであって、真メインヒロインは別にいるということだ。
船堀お姉さん
非常に評価の難しいヒロイン。
シナリオ上は明らかにサブヒロインではない。
私個人は一番キャラデザインの好きなキャラクターなのだが、公式サイトや体験版の印象では、本編でサブヒロインとして適当に扱われている可能性を危惧していた。
結果的には『サメと生きる七日間』のシナリオ上は極めて重要なポジションにいるヒロインだった。
しかし、シナリオ上の重要性に対して十分な扱いを受けていたのかといえば微妙なところだ。
船堀お姉さんが中途半端なヒロインに思える理由は以下の3点だ。
・Hシーン数・CG数がパッケージヒロインであるくーこ・天音・麗水に比較して少ない
・CG総数は麗水と同数であり、サブヒロインの遠花・真瑠璃の倍ある
・下の名前が出てこない
数字は抽象的な言葉による評価よりも分かりやすい。
もし、船堀お姉さんが真メインヒロインであるならCG数は一番多いはずなのだ。
エロゲーでは重要なヒロインほどCG数は多くなる。
特にエロゲーにおいてはHシーンのCG数は重要で、その点からは船堀お姉さんの立ち位置はかなり微妙だ。
じゃあCG数が少ないのかというと、シナリオ面のCGは一番多い。
HCG数とシナリオCG数のねじれが中途半端な印象を与えていると思う。
CG数の話ばかりしていると、「シナリオのCG数は一番多いんだから問題ないだろ」と言われてしまいそうだが、もう一点あるのだ。
致命的なのは最後まで下の名前が出てこないところだろう。
最後まで「船堀お姉さん」だ。
これまたCG数と同様に、エロゲーにおいてヒロインの名前は極めて重要だ。
エロゲーがエロとその前段階の恋愛を中心に描くエンターテインメントである以上、ヒロインの名前が重要なのは当然のことだ。
恋愛とはコミュニケーションであり、コミュニケーションにとって名前は最重要と言っていい要素の一つだからだ。
ナンパするときだってまず相手の名前を聞くでしょ?
「What’s your name?」
かのコミュニケーションの名著『人を動かす』の中でデール・カーネギー氏は、
「人に好かれたければ相手の名前を覚えて相手の名前を呼べ」
と言っている。
なぜなら、その人にとって名前は最も心地よい響きをもっているからだ。
とか、難しい蘊蓄の話なんてどうでもいい。
Hシーンのときヒロインの名前呼ぶじゃん、それをどうすりゃいいんだ、という話なのだ。
恭平もずっと「お姉さん、お姉さん」言ってる、他のヒロインは下の名前で呼んでるのに。
シナリオを重視しすぎてエロが微妙という作風のため、すっきりしない扱いを受けているヒロイン、それが船堀お姉さんなのだ。
中途半端と言っているのは、ダメということではない。
シナリオでの扱いは予想を裏切る好待遇だった。
だからこそ、変な後味にならないようにエロ面にも力を入れてほしかった、エロゲーなんだから。
キャラクターまとめ
ちょっと批判的なことを書きすぎたが、もちろん良かったところもある。
一番良かったのは、主人公に合わないヒロインが一人もいなかった、ということだ。
普通ヒロインが6人もいれば一人や二人は主人公とくっつくことに違和感を感じるヒロインがいる。
サメナナでは6人全員が主人公とくっついても全然違和感がなかった。
恋愛面で違和感なくテキストを読み進められるのは主人公とヒロインたちのキャラクター設定がよくできていたからだろう。
音楽【B+】
音楽はかなり良かった。
作品の世界観を上手く表現できていると思う。
まず、OP曲の『泡沫の光』は普通に良曲で、クリア後もちょくちょく聴いている。
音楽だけ聴いているとラブコメ調なのに、歌詞に着目してみると一貫して不穏な内容。
絵柄だけなら普通のラブコメなのに中身は濃密なシナリオゲーである『サメと生きる七日間』にマッチした曲だと思う。
「私は罪人でしょうか」というフレーズが印象深い。
この「罪人」が誰のことなのか考えてしまうんだよね、普通に考えればくーこなんだろうけど。
BGMについても、サメナナの世界観をよく表現できている。
特に、OP曲と同様に不穏さの表現が実に巧みに感じる。
『異常との遭遇』『憂を寄せるさざ波』『赤い海』など、ストーリーが穏当には展開しないことを感じさせる。
また、バトル面でも『船に誓う』はOP曲『泡沫の光』のアレンジであり反転攻勢の盛り上がりが感じられた。
『如法暗夜の抗戦』は戦闘曲としてラブコメ要素のあるゲームとは思えないに迫力がある。
そして全曲の中で最も印象深かったのが『ノーエンドオブ・ハードプロブレム』だった。
この曲が流れると、サメナナが単なるラブコメではなくサスペンスでありミステリーでもあるという雰囲気に一瞬で切り替わる。
ここまで褒めておきながらAやA-にしなかったのは、ゲームを離れて単純にBGMとして鑑賞したくなる曲が少なかったからだ。
OP曲は良曲だがややインパクトに欠ける。
BGMも不穏な曲に良曲が多いものの、普段からBGMとして聴いていたくなるのは戦闘曲や日常曲などが多い。
サメナナはバトルものではないので戦闘曲はバトルメインの作品にはさすがに勝てない。
日常曲はそこまで印象に残らなかった。
以上のような理由からB+に留めたものの、全体的にハイレベルな音楽で素晴らしかったと思う。
Hシーン【B-】
『サメと生きる七日間』最大の欠点がHシーンの不出来だ。
一応おかずに使えるヒロインがいたのでB-としている。
イメージで言えば、「最高の素材に最低の調理」という感じ。
ヒロインたちは十分かわいいのだが、HCGが良くない。
シナリオ中心のゲームとしてはHシーンが少ないわけではないので、Hシーンを軽視したわけでもないと思われる。
単純に制作陣の力量不足なのではないかと考えている。
大きな問題は2つある。
・Hシーン数の不足
・つるこんにゃく先生担当のヒロインの不出来(くーこ、麗水、船堀お姉さん)
Hシーン数の不足
Hシーン数についての問題は、さらに細分化すれば以下の4つに分けられる。
【①サブヒロインのHシーンが少ない】
これはある意味仕方ないといえる。
Hシーンは多ければ多いほどいいが、ブランドの人的リソースにも限りがある。
それにしても船堀お姉さんのHCG数が5枚で、サブヒロインの遠花と1枚しか違わないというのは微妙だ。
前述した通り、HCG数が少ないせいで船堀お姉さんが結局メインヒロインなのかサブヒロインなのかが微妙になってしまっている。
もっとも、これはどちらかと言えばシナリオの話ではある。
シーン数の少なさがエロとして問題になるのは②~④だ。
【②立ち絵の服装のバリエーションが豊富なのにHシーンに活かせていない】
これは完全に期待外れと言わざるを得ない。
立ち絵の種類はサブヒロインを含め全ヒロイン最低6種類以上ある。
公式サイトを見ればわかる通り、スクール水着や浴衣、巫女服など独特なものだ。
全ヒロインに裸立ち絵もある。
当然Hシーンに活かされているのかと思いきや、Hシーンのない服装だらけだ。
くーこでさえ裸と普段着の2種類しかHシーンに登場しない。
エロゲーは公式サイトのキャラクター紹介やサンプルCGで期待させておいて製品版でがっかりするというケースは本当に多い。
サメナナもその例に当てはまってしまっているのは残念だ。
【③ハーレムがない】
これも服装と同じ問題だ。
公式サイトのサンプルCGには麗水と真瑠璃のWフェラのCGがある。
てっきりハーレムのシーンがあるかと思いきや、このCG1枚しかない。
さすがにこれは売上を上げるために意図的にやっていると思われる。
「ハーレムのシーンもありますよ~」というわけだ。
個人的にはハーレムのシーンが特に好きというわけではない。
しかし、同ブランドの『神様のような君へ』がけっこう過激なハーレムシーンのオンパレードだったことを考えれば、サンプルCGがある以上、当然あるものと思うだろう。
しかも、テキストでのみ「最後はふたり分、お尻を並べて交互に」とか描写されている。
いや、だからそのシーン見せろや、という話だ。
シナリオの構成的にもハーレムはあってしかるべきだろう。
一般作でも販売されている『神様のような君へ』でさえ過激なハーレムシーンを大量に入れてるんだから、こっちでもやってくれい。
【④船堀お姉さんにおっぱいを活かしたシーンがない】
船堀お姉さんは麗水を超える、本作ナンバーワンのおっぱいキャラだ。
私は30回以上は以下のやり取りを繰り返した。
好きな胸の大きさは?
大きければ大きいほどいい!!!(食い気味×30超)
ありがと♪
この選択肢だけは一切迷わなかった。
そんな船堀お姉さんにはなんとパイズリのシーンも授乳手コキのシーンもない。
なぜか足コキはある。
何のための最巨乳キャラなのか。
実は私個人は挿入のないHシーンには興味がないので、別にパイズリも授乳手コキもいらない。
それにもかかわらず、パイズリや授乳手コキのシーンがないことに不満を言うのは、麗水にパイズリのシーンが2つもあるからだ。
明らかに構図についてシーン数のバランスを欠いている。
これが、次に説明するつるこんにゃく先生が担当しているヒロインの問題につながってくる。
つるこんにゃく先生担当のヒロインの不出来(くーこ、麗水、船堀お姉さん)
『サメと生きる七日間』の目玉の一つがつるこんにゃく先生の美しいキャラクターデザインであることは間違いないだろう。
先生の前作『海と雪のシアンブルー』で先生の担当した松木衣良はそのデザインの美しさもあって圧倒的な人気がある。
衣良の出来が良かったため、今作『サメと生きる七日間』では、6人いるヒロインのうち3人を担当することになったのだろう。
しかし、サメナナではとにかくつるこんにゃく先生担当のヒロインのHシーンがひどい。
何がひどいのかというと、具体的には以下の2点だ。
・Hシーンの構図が悪い
・Hシーンにダブりと偏りが多い
【Hシーンの構図が悪い】
これも細分化すれば、①オーソドックスな正常位がない、②主人公を描きすぎ、という2点の問題がある。
まず、サメナナで一番Hシーンの構図が良かったのは天音だ。
見てわかる通り、シンプルな正常位だ。
主人公を描くということもない。
それに対して、くーこ、麗水、船堀お姉さんの3人についてはまともな正常位がなかった。
ヒロインが寝ているのではなく座っていたり、結合部をヒロインの足で隠してしまっていたり、主人公をでかでかと描いていたり、とにかく余計なことをしている。
主人公を描きすぎというのは前作『海と雪のシアンブルー』でも見られた傾向だ。
正常位や後背位のようなお約束の体位については余計なことをしない方が使いやすいだろう。
【Hシーンにダブりと偏りが多い】
これについては理解に苦しむレベルだった。
例えば、くーこには後背位のシーンが2シーンもあるが麗水には1シーンもない。
また、麗水には正常位のシーンが2シーンあるのだが、いずれも主人公が半分くらい描かれていることに加えて結合部を主人公や麗水自身の足で隠すというそっくりな構図だ。
HCG数自体が多いわけではないので、そっくりな構図を2つも入れるのなら1シーンは後背位にするなどして構図を散らすべきだろう。
他にも、麗水にはなぜかパイズリのシーンが2回もあったりする。
前述した通り、おっぱい担当の船堀お姉さんにはおっぱいを使ったシーンは一つもない。
共通ルート冒頭でくーこに「おっぱい」呼ばわりされているにもかかわらずだ。
実は天音についても構図のダブりは見られた。
天音には後背位のシーンが3つもある。
さすがにどうかとは思うが、天音は正常位、後背位(前と後ろの両方あり)、騎乗位、とメジャーな体位を一通り網羅しているのであまり気にならなかった。
性癖は個人差が大きいため、絶対の正解があるわけではないが、だからこそオーソドックスな構図を一通り網羅し、最低でも1シーンは使えるシーンがあるようにして欲しかった。
構成【A-】
ルートの構成についてもシナリオ同様に意外性があって良かった。
普通に考えればメインヒロインのくーこでラストだと思うわけで。
体験版プレイ時にはヒロインの攻略順が重要になりそうな感じがした。
にもかかわらず、製品版でいきなりくーこから攻略できることを知ったときはどうなることかと思ったが、しっかり考えて作られていた。
あえて問題点を指摘すればヒロイン6人は多すぎたように思う。
主人公の記憶喪失の件について似たような話が何度も繰り返されるので、「そのくだりまたやるの」となってしまう。
とはいえ、メインヒロインとサブヒロインで絵師が違うので、サブヒロインを減らしたところで一ヒロイン当たりのCG数が増やせるわけではないのだろう。
総評
CUBEというブランドはシナリオライターといい原画家といい非常にポテンシャルの高いハイレベルなブランドであることが伺われる作品だった。
サメナナで残念だったのは、極端にシナリオの出来が良すぎる反面Hシーンの質が低いところだろう。
ゆずソフトと比較すると分かりやすい。
ゆずソフトの作品はサメナナとは真逆で、シナリオは面白くないがエロはいいので売れ続けている。
どうしてもエロゲーは、
エロ>シナリオ
のエンターテインメントなのだ。
シナリオは1回見てそれでおしまいだが、抜けるエロシーンは何年でも使い続けることができる。
もちろんシナリオが面白いにこしたことはない。
エロければシナリオが平坦でいいというわけではないのだ。
だからこそ、シナリオのレベルを維持したままでもっともっとエロに力を入れてほしいと思う。
『サメと生きる七日間』のシナリオと『神様のような君へ』のエロが融合すればCUBEはゆずソフトを超え、エロゲ界の頂点に立てるポテンシャルのあるブランドだと思った。